yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

法事にて

あっという間に7月下旬となった。


いつも早めに職場に着くのであるが、朝活をするでもなく、構内のラウンジで朝食タイム。


週末、義母の三回忌があった。
土曜日の夕刻、信州の義兄一家が到着し、義実家は賑やかだ。
夜は焼肉サミット。
甥っ子、姪っ子たちが大きくなるにつれ、一回の食事で炊くお米の量がどんどん増加し、とても面白い。

日曜日の三回忌は、私が結婚してから初めて親族として参加する法事である。
結婚式や親族顔合わせなど、一切していないので、初対面の方が多く、緊張だ。
ホスト側になるので、朝、自宅から義実家に行った後、早めにお寺に向かい、お墓の掃除やら何やらしなくてはならない。
若干焦りつつ、夏用の黒いフォーマルワンピースの背後のジッパーを全て下ろしていない状態で、スカートの方から頭を入れて、被るように着ようとした所、当然ながら、途中で詰まってしまった。
「!?」両手を空につきあげた状態で、アルファベットの「I」の字形のようになり、身動きが取れなくなった。
このとき、「しまった!ジッパーを全開してなかった!」と気づき、もがく。
新種の生物のようなこの姿で、ネコ男氏に助けを求めに行くのは、いささか阿呆すぎる。
た、たすけて…。

汗だくの状態で、身体をよじりねじり、「うぁぁ」等の奇声を発しつつ、なんとかジッパーに手が届くように腕を曲げる。
こんなところで時間を取っている場合ではないのだ!
まさか、こんなアクロバティックな事になるなんて!
2、3分後、なんとか指先が辿り着き、「ぐああ」と言いながらジッパーを下まで下げる。日頃の運動不足がたたって、ほんとに痛い。
そして、やっと、スポッと服が定位置に収まった。
あとは、素知らぬ顔をして階下に下り、背後のジッパーだけ上げてもらった。

そして、京都市内にあるお寺に到着すると、既に、他の親族の方々が到着されていた。
お墓の掃除とお供えの準備の後、親族の方々に御挨拶している内に、本堂に移動する。
正座が苦手な私は、事前に、義姉に「本堂は正座なんでしょうか」とリサーチを入れたところ、椅子席であることが判明し、狂喜した。これで、お焼香の時に、足が痺れて立てず、もんどり打ってひっくり返らなくてよい。
席はお焼香の順番で座る。私は末席だ。義姉と並んで最後列に座る。

読経を聞いているときに、両足の足指のストッキングが破れ、親指だけが「コンニチハ!」していることに気付いた。
こんなときに限って、鮮やかな黄緑色のペディキュアをしている。
げええっ。
慌てて、周りの生地を引っ張り、穴を隠す。歩いているうちに再び穴に親指が入って「コンニチハ!」してしまう可能性もあるが、今はもうこれしかな い。

お焼香が始まり、作法を眺める。
これまでの己の実家の法事やお葬式など、通常、3回つまんで炉に入れる事が多かったのだが、見ていると、3回の人と、1回の人が、半々の割合だ。
どっち?どっちなの!?
お坊様の作法をチェックしていなかったのが悔やまれる。

謎のまま、自分の番が来た。足指のストッキング穴に全ての気を集中しつつ、いざ焼香台の前に立ち、「ええい。3回でいっとこう」と決断する。
で、私はここで、1回目のお香をすぐ隣の炉に移すつもりが、お線香が立てられている前方の大きな香炉に入れた。
大きな香炉に落とす瞬間、「あれ…なぜ…」と、己の行動時間が止まったように思え、背後の方から"ちがうちがう、そっちじゃない"というニュアンスの、か細い「あっ」という声が聞こえ、嗚呼、もうこの香炉の中に隠れてしまいたい。
その後2回、その場を繕うように正しい方の香炉につまんで入れて、終了。

前方にいた主人曰く「なんか違うことしてんなーと思った」と感想を述べ、「ここのお寺は、正しくは焼香1回。しかし、義父や親戚のおじ様おば様方 も、マイルールで1回だったり3回だったりする」と。
先に言っといてほしかったが、法事のバタバタでそのような余裕などなかったことは確かである。
やはり、色々とやり方があるんだな、と痛感。

皆が亡き義母を偲んでいるなか、私は己のストッキングの穴と焼香タイムでの恥に終始した。
義母とは、生前に1度だけ1分程度の御挨拶のみで、その後急逝されたので、お話らしきお話をしたことがない。
しかしながら、読経に交じり、外の蝉しぐれが聞こえてきて、夏の日に亡くなった義母が、おそらく「いいからいいから」と苦笑されているような気になった。

その後、炎天下の墓所での読経が終わり、ぞろぞろ歩き、元のお座敷に戻ろうとしたところ、親戚の叔父様より、「こんな炎天下にビール缶を置いたまんまやと、爆発するで。お菓子も回収したほうがええわ」と聞き、「承知しましたッ」と、主人とともに、ビニール袋を片手に墓所へと戻る。
道すがら、中学生の甥っ子2名がじゃれあいながら走って来たので、「☆ちゃん、おばあちゃんのお墓のお花以外取って来て。○ちゃんはこっちの親戚 のお墓の方ね」と、若い世代に行ってもらう。
どういうわけか、義母のお墓のお供えのおまんじゅうが既になくなっていたとのことで、早速、鳥かケモノにやられたか、どこかに落ちてしまったのか、なんなのか、謎である。

今回、とりあえず、
・フォーマルワンピースの背後ジッパーは、全て下りていることを確認すること
・法事の時に履くストッキングは、ケチって安物にせず、破けにくいものにすること
・お焼香の時は、お坊様のお焼香作法をガン見すること
・炎天下のお供えものは、お参り後、すぐに回収すること(特にビール)

ということを学んだ。

学内はテスト期間中。