お店の中はすでに10人ほどのお客さんの入り。
気取りのないアットホームな雰囲気で、ホッとしました。カウンターで注文し、麺の茹で上がりを待ちます。
釜玉を注文しようと思ってましたが、かなり時間がかかるとのことで、かけうどんをお願いしました。
丼に入った茹で上がりのうどん。あとは好みで天麩羅やお揚げさん、お肉やおにぎりなどなどをチョイスし、会計。会計が終わったら、蛇口タイプの出汁を自分でかけます。
ネギや生姜、天かすを自分で好きなだけ入れて、ハイいただきます。
朝昼兼用の駆けつけ一杯をいただき、そのまま車で10分ほど走り、さぬきと言えばこんぴらさん、こと金刀比羅宮の界隈に到着しました。
車の中から、象頭山(ぞうずさん)の中腹にこんぴらさんの屋根が見え「おぉー!あれがこんぴらさんかァ」とボルテージが上がりました。
表参道。正面奥の山の中腹に屋根が見えます。
こんぴらさんといえば、長い長い石段。
本宮までは785段。その先の奥社を目指す場合は、1368段。
さぁ登り始めます。
昨年、こんぴらさんに行った同僚さんから「重い荷物は預けていくべし」「杖は借りるべし」とアドバイス頂いていました。杖は参道脇のお店で借りる事が出来ます。100円のところが多かったです。借りるつもりでしたが、なんだかんだそのまま登り始めてしまいました。これが後で後悔することになります。
石段の勾配が急になります。目の前は石段。見上げると石段。とにかく石段。フォーエバー石段。思わず「うっひゃー」と声が出ますが、参道脇のお店をひやかしながら行くので、まだまだ余裕がありました。
振り返るとこういう風景。
右手には重要有形民俗文化財の灯明堂。備後国因之島浦々講中の寄進で、船の下梁を利用して建てられた切妻造・瓦葺の回廊のようになっています。個人的にはこれがとっても懐かしい感じでした。夜には灯籠に明かりが灯るのかな。見てみたい。
大門が見えてきました。この辺から足が疲れて来ます。しかし大半の方がしんどそうに登ってるので、連帯感があって楽しいです。
大門。ここから神域になるそうな。石段は365段。
大門をくぐると、五人百姓という飴を売る方々がいました。宮域で特別に認められた5軒のお店だそうです。
狛犬さんの頭の上に丸い何かがありますね。
今日は晴天でとっても気持ちがいいです。
大門をくぐり奥へ伸びる参道は、桜馬場。桜並木の参道は、風が吹くと桜吹雪となって、とても綺麗でした。
桜馬場西詰銅鳥居。
銅鳥居脇のこんぴら狗。江戸時代、ご主人に代わってこんぴら参りをした犬の像。境内にはワンちゃん連れの方が多かったです。
大きな楠木のある広場の右手に御厩。
神馬がいました。月琴号。
こちらも名前を失念しましたが、神馬です。月琴号より少し若手。
銅鳥居をくぐり、石段をヒィヒィ言いながら登ります。470段くらい?で書院が見えてきました。円山応挙の襖絵などがあります。
石段500段にさしかかります。先に屋根が!
最初、本宮かと思ってしまいましたが、違います。建物が見えるたびに「本宮!?…イヤ違う!」の繰り返しで、こんぴら参りというのは、人生の機微というか、道のりというか…そういうのを考えてしまうというか。
祓戸社。
石段を登ります。上まで628段。
旭社に到着。休憩しつつ、なんとなくお寺チックやね〜とネコ男氏と眺めてましたが、神仏習合時代はここが金堂だったそうな。なるほどです。
石段652段目、闇峠。花崗岩神明造の鳥居があります。
さぁ、いよいよ本宮が見えてきました。
御前四段坂。本宮前の最後の難関。
785段。本宮に到着。海抜251メートル。
本宮は、フラッシュおよび正面からの撮影は禁止とされていました。本宮の中はご祈祷中で、金色っぽい装束の神職さんが、祈りを捧げられていました。
憧れのこんぴら参り、達成!
本宮横の御神木、楠木。
高台の展望台からは、讃岐平野が一望できました。中央左のポコンとした山が讃岐富士。土曜日は晴れていたので、遠く瀬戸大橋を見る事も出来ました。
さて、珍しくネコ男氏が「奥社行く?」と聞いてきたので「そうやねぇ、せっかくやし」と先へ進みます。
奥社へは1300段あまりなので、更に583段を登ります。片道30分くらいはかかります。
奥社へ行く道は、自然がいっぱい。真井(まない)橋を渡っていきます。近くに北原白秋の歌碑がありました。途中、常盤神社や菅原神社など、いくつかのお宮があります。
白峰神社。紅葉の大樹が多く、紅葉谷と呼ばれているそうです。日の光を浴びた若葉がキラキラしていて、境内はとても明るくて綺麗でした
卯花谷の鳥居。
ここから1098段目の始まり。個人的には、この石段が一番しんどかった!
意外と体力があるネコ男氏はどんどん先を行き、私は「先に行ってくだせぇ」と下の方から手を振り、えっちらおっちら登り続けました。マイペースが一番ですね。
頭の中は余計な事を考える隙間はなく、ひたすら「石段を登って上へ行く」事しか考えてません。
1261段登ると、手水舎があります。そこから100段進むと…。
1368段。海抜421メートル。奥社、厳魂(いずたま)神社に到着。
汗ばみながら登りきった瞬間、思わず笑顔になってしまいました。やった〜登ったぞ!という達成感でいっぱいです。
威徳巌(いとくいわ)。すごーーく見づらいのですが、中央上部の大きめの岩の下に、天狗と烏天狗の彫物がありました。よくこんな所に掘ったな。
奥社を後にし、本宮エリアへ。
後は下るのみ。ここで私は「杖を借りていけ」という同僚の言葉を思い出し、やっぱり借りて行けば良かったと痛感しました。
むしろ、杖は登る時ではなく、下る時にあると助かる。こんぴらさんの石段は勾配が急な箇所もあり、ところどころ斜めになってたりして、気をぬくと前へつんのめりそう。下る時の方が力がいるかも。
そんな話をネコ男氏に一生懸命語りかけながら(そして普通にスルーされつつ)、たまに「♪こんぴらふねふね〜追い手に帆かけてしゅらしゅしゅしゅ〜♪」と超小声で歌い、木々の中を抜けていきます。
本宮エリアに戻って来ました。
本宮左手にある南渡殿。
約40メートルの長い廊下。祭典で、本宮へ参進する神職、巫女、参拝者がこの廊下を進むそうです。いいなぁ。もしご祈祷を申し込めばここを渡れるのであれば、私もお願いしてみたいと回廊好きの血が騒ぎます。
こんぴら狗みくじ。犬の置物の背中におみくじが入ってます。ご祈祷済みの小さな犬のお守りが入ってました。お財布に入れておこうかな。
絵馬堂。海にまつわる神様という事で、漁師さんが使う流し樽が奉納されてました。
さて、足をガクガクさせながら大門まで下ってきました。
登ってるときは気にしてませんでしたが、眼下には讃岐平野。
おっ!籠です。
一之坂のあたりから大門までは、有料で籠屋さんに担いでもらう事もできます。(大門からは自力で登るしかないです)
自分一人が登るだけでヒィヒィな坂道を、人を担ぎながら来るなんて…思わず我々は立ち止まり「スゴイ」を連発。
ちなみに担がれているのは、70歳?くらいのベテランさんと30代か40代くらいの若手のお兄さんでした。
気になった看板。犬の顔が濃い事と衣装から「こんぴら歌舞伎」を意識したものだろうと推察しますが、テープで隠された部分が気になってしまいます。大喜利のような…。
参道沿いのお店で、趣味の手ぬぐい収集も。
石段ボーダー。
そして、おいりソフト。
バニラとチョコ。おいりが落ちないように気をつけて食べました(^ ^)階段登りの疲れが癒される気がします。
今年の3月頃に、伏見稲荷の一の峰までの1200段を踏破し、それで自信というか「わたし体力運動神経ゼロやけど、マイペースに少しずつ行けば、確実に上がれるやん」と味をしめました。今回はこんぴらさんの奥社まで行くことが出来て、「神社の長い石段ランキング2位」を制覇した喜びに満ちております。
追記…念のため再度調べたところ、日本の神社仏閣で最も多い石段は、熊本県の釈迦院3333段だそうです。
後半へ続きます。