yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

因島と尾道うろうろしてた日記①海辺の街へ!

自宅待機中に、昔の写真を少し整理しました。
その中で、濃い体験をした広島にいた時の写真を残していました。

 

ステイホームで遠出が出来ない現在、このところ「yukix室内でうろうろしておやつ食べ日記」になっていますので…(^ω^)「yukix因島(いんのしま)と尾道(おのみち)うろうろしてた日記」を書いてみようと思い立ちました。

当時はスマホもデジカメもなく、普通のカメラでフィルムで撮影しました。その現像写真を改めてiPhoneで撮影したものを、挟んでみます。

不鮮明なものもありますが、どうぞご笑納下さい。

 

20年ほど昔、広島県、瀬戸内に浮かぶしまなみ海道のひとつである因島で、8ヶ月間、宿泊施設の調理部正社員として働いていました。
「京都から出たことがない。海辺の町で一人で暮らしてみたい!」という、「お前は"魔女の宅急便"のキキか?」とツッこみたくなる理由からでした。
海辺に住みたい→伯父さんが島にいる→伯父さんのところで働かせてくれ
という、若さゆえ以外にも私の阿呆全開の思考回路により、深く考える事なく縁故就職の流れで、因島に行く事になったのでした。

 

3月末日、京都駅から新幹線にて福山駅を下車し、山陽本線に揺られると、やがて車窓の左側に、瀬戸内の海が見えてきます。林芙美子の「放浪記」の冒頭、"海が見えた、海が見える"という文章そのまんまの風景です。

電車は尾道に近づいていました。向こうには、造船所のクレーンが空へ伸びていました。穏やかな尾道水道には小さめの漁船が波をたてて走り抜け、線路沿いには国道を走る車と古い民家や商店。

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物心ついて初めて見る尾道の雰囲気に、私は一気に惹き込まれました。
そしてトドメは駅に降り立った時に見上げた、千光寺山の風景。埋め尽くすような古い民家や石段、迷路のような。

 

それが私の尾道の第一印象で、これは何と面白げな街か!とワクワクしたものです。
駅前は何度か再開発され、今の雰囲気はわかりませんが、当時は大林宣彦監督の「尾道三部作」の世界観そのままでした。

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さて、因島への交通手段は、橋を渡るかフェリーに乗るか。初心者である私は、尾道駅からバスに乗り、因島へ渡りました。
尾道から因島の間に、向島(むかいしま)という島があります。なので橋を二つ渡ります。ちなみに、この時はまだ「しまなみ海道」が出来る前でした。

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バスに乗る人は少なく、島の中のみかん畑を見ていると、私は急に「…勢いで来てしまったが、本当に良かったんやろか」と不安に襲われました。

盛大に送り出してくれた友人仲間たちや、心配そうに駅で見送っていた両親の顔が浮かび、ますます「えらいことをした」と初日の段階で私は泣きそうになり、後悔しました。
あまり詳しく言うと年齢がバレてしまいますが(笑)当時はまだ20歳にもなっていなかったので、本当に若気の至りでしたね。

 

向島と橋を越え、到着した因島

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ひとまず一ヶ月間は、隣の生口島(いくちしま)にある伯父宅に居候する事になっていました。ドキドキです。なんせ伯母が結構キツイ人でしたので。
今から思えば「だーかーら、よく考えろって言ったやろ!」と当時の私にビンタしてやりたい。

生口島へは、因島から橋を渡るかフェリーに乗っていきます。私はフェリーに乗り、5分ほど海を渡りました。上の写真の手前が因島、奥が生口島です。


瀬戸内の春の海はとても穏やかでした。
昨日まで京都にいた自分が、島と島の間を渡るフェリーに乗っている事が非現実過ぎて、ぼんやりと、小さな島が重なる海の景色を見ていました。

 

伯父宅は生口島のフェリー乗り場から歩いて数分の所にあり、周りは住宅と畑という、のどかな場所でした。
伯父は寡黙で実直な人で、伯母はキツイというか素直な人でした。挨拶のあと、二階の部屋を案内してくれました。
そこは3畳ほどの部屋で、半分物置のような雰囲気でしたが、テレビもあるし窓からは海が見えるし、ありがたかったです。

伯父宅には犬が2匹ほどいましたが、私を見るなり警戒心MAXで吠えたて、「この鎖さえなかったらオマエの喉なんぞ噛みきってやるけぇ!」といったド迫力。
「こわすぎる」と早々に近づくことを諦め、下の和室で家庭菜園を眺めていると、白猫が入ってきました。
白猫は反対に警戒ゼロで、ニャーンと鳴きながら私に甘えてきてくれました。初日の不安を和らげてくれました。

 

夜、眠る前に窓の外に目をやると、真っ暗な夜の海の向こう、隣の岩城島の造船所のクレーンに灯された小さな赤いランプが見えました。
この造船所は、朝と夕、「ウーーー」とサイレンが鳴り響きます。
これからしばらくは、このサイレンを聞いて暮らすんやなぁ、と赤い光を見ていました。


続く!