yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

因島と尾道うろうろしてた日記②仕事始め

さて、いよいよ初出勤の朝。
伯父宅の朝食は、トーストと林檎と決まっていました。
緊張のため何をかじってるかよく分からないまま、伯父の車に乗せてもらい、いざ出陣です。

 

フェリーに車ごと乗り込み、海を渡ります。
京都から来た私からすると、フェリーに乗るだけで一大イベントですが、この辺は本当にバス感覚。

 

職場である宿泊施設にて初顔合わせ。
料理長である伯父。
伯父の弟子である頼もしい板さん。
優しいパートさん3名。
以上が調理場のメンバー。

パートさんは3名とも60代のご婦人で、元気で個性豊かでした。
「あんた、京都から来たんじゃろ。やっぱり垢抜けとるの」と、言われました。流行から取り残された小娘であった私が、その頃は不特定多数の人に「京都から来た垢抜けた若い娘」として扱われ、不可思議な心地でした。
当時の因島は、平成の世ではありましたが、感覚的には昭和50年代なかばくらいの雰囲気があったように思います。


そんなわけで、かなりの小人数な調理場ですが、調理スペースはかなり広く、もう2、3人正規の板さんがいてもいいのにと思ってましたが、人員不足など、色々あったんでしょうね。何せ私が思いつきで入社できたくらいなので…。

 

制服は、調理用の上半身のみの白衣。ズボンは自前。パートさんが縫ってくれた撥水生地のエプロン。あとは帽子だったか三角巾だったか。

着替えは宿泊施設内にある従業員の控室。日の当たりにくい部屋で、畳が通年湿っていました。
施設の外に野良猫がいて、いつも誰かが餌をやっていたり、控室の中に餌皿もあり、猫が自由に出入りしていました。
こんなふうに…。

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初日は洗い物を中心に行い、最後に今夜の宿泊客のデザートにつける林檎のウサギさんを作りました。
来てしまったものは戻れない、私はここで働くのだ、と思いつつ、伯父と共に退社し、生口島に戻りました。
伯母に「昨日、ここにいた猫ちゃんは、どこにいますか?」と聞いたところ、
「ああ。あの子、今朝死んだんよ」と。

 

ビックリしました。老衰的なものだったようです。
その夜、初日の疲れもあり早めに布団の中にもぐりこみ、「あの子は、私の不安をあの世へ一緒に持って行ってくれたんや」と思えてきて、しくしく泣けました。

 

それから一ヶ月間、とにかく早く仕事を覚えようと、がむしゃらでした。
おかげでその期間の記憶があまりないのですが、
・洗い物
・盛り付けのお皿を調理台に並べる
・林檎のうさぎ作り
・酢の物用のジャバラ胡瓜作り
・ゴボウのささがき作り
などを、主にやっていたと思います。
おかげで、今もこれらの作業は得意です。

 

さて、入社して初めてのお休みを頂いた日、私は京都から宅配便で送ってもらった自分の原付バイク(そう、送ってもらったのです…)に乗り込み、生口島を探検しました。

 

生口島は島の外周沿いに道路があるので、一周することが出来ました。伯父宅から正反対にある島の向こう側にある瀬戸田へ向かいました。
瀬戸田の街をバイクでのろのろ走ると、観光のお店があったり、海辺の物見台にタコが干してあったりで、なかなか楽しいです。
私はよく平山郁夫美術館に行き、作品を眺めていました。真っ青な砂漠を行くキャラバンの絵があったと思うのですが、それが好きでした。
いつか私もシルクロードを歩いてみたい。遠くへ行ってみたいと。

 

その日は、耕三寺に行きました。豪華絢爛なお寺でした。
ちょうどお釈迦様の誕生日、花まつりの日だったので、小さな生まれたてのお釈迦様の像に甘茶をかけるというのをやっていました。

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壮麗な伽藍の向こうには花が咲いていて、とても美しい風景でした。


サンセットビーチ。
島の西側にあり、夕焼けが特に美しいとされている海水浴場。ひょっこりひょうたん島のモデルとなった島が見えます。

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因島に移ってからも、度々訪れていました。

 

一ヶ月後、伯父宅を後にし、因島に移る事にしました。伯父は因島にも一軒家を持っていて、私はそこを一人で借りる事になったのです。
家財道具は揃っているので、荷物は大してありません。引越しは、原付の前と後ろに、1個ずつ荷物を入れた段ボールを縛りつけ、フェリーではなく橋を渡りました。

因島生口島を渡す生口大橋です。そこを段ボールをくくりつけた原付バイクで3往復。
眼下に瀬戸内海、海風を浴びながら何度も何度も橋を渡りつつ、「いやっほー!」と叫んでいました。
ここからが本番。
さぁ、いよいよ海辺の一人暮らしや!

 

続く!