滋賀県と京都府の境にそびえる山で、伝教大師最澄上人が、788年に延暦寺を創建。
以来、「日本仏教の総合大学」「日本仏教の母山」と呼ばれ、多くの仏教宗派の開祖となった名僧を輩出。
大多数は、ケーブルカーで比叡山に登り、東塔地域をお参りにした後は、山頂のガーデンミュージアムへ行くのが定番かなと思います。私もそういうコースでした。
今回は車で来たので、京都側から滋賀側へと比叡山を縦走し、比叡山延暦寺の三つの地域「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」を巡ってみようと思います。
ちなみに車で比叡山に行く時ですが。
延暦寺の山中は、比叡山ドライブウェイと、奥比叡ドライブウェイという二つの有料道路で繋がっています。
知らずに有料道路内を行ったり来たりすると、最初的に「え、エッ!!」とビックリするような料金になりますので、事前に諸事情鑑みて、一番ご都合の良いルートを選択されると良いかと思います。詳しくは比叡山延暦寺のHP内にある交通のところでお調べ頂くと良いかと。
山内には、地域を結ぶシャトルバスも運行していますので、そちらを利用するのも一手ですし、もちろん全ての地域を歩くのもアリ。
京都側から山道をひたすら上がって行くと、青々とした水を讃えた輝く琵琶湖と、滋賀の市街地が眼下に広がります。
昔読んだ山岸涼子先生の著書で、「比叡山延暦寺から下山すべくタクシーに乗ったところ、いつまでたっても辿り着けない。何度も同じ場所をぐるぐる周り、どういうわけか同じ場所に戻ってくる。しばらくするとタクシーの運転手さんが訳知り顔でおもむろに煙草を吸うと、今度はちゃんと下山する事ができた」という話を読み、「おぉ…山って不思議」と興味津々でした。
しかし、実際に自分がそういうよく分からない目に遭うのは困りますね。
無事に、延暦寺バスセンター近くの大きな駐車場に到着。朝9時過ぎ。まだ人影は多くはありません。
東塔の巡拝受付にて、他の三つの地域の分もあわせて、1000円の拝観料を支払います。受付を抜けると、緑の苔も美しい、伽藍へと続く参道が現れます。
大講堂を抜けて、鐘楼脇の坂道を降ります。
木々の間から。高いところまで登ってきたな。
古そうな小祠がありました。
正面の大きな木が、ビックリするほど立派でした。
さて、石段をさらに下がると、比叡山延暦寺の中心、総本堂である根本中堂(こんぽんちゅうどう)が現れます。
現在、改修作業中ですが、中のお堂に入ってお参りする事が出来ます。
開祖である最澄上人が、最初に延暦寺を開いた場所。
建物は国宝で、ご本尊は薬師如来様。
足場が組まれた薄暗い廊下を抜けていくと、空気がひんやりしてきます。改修って、こういう感じでやるんだ…と、これはこれで貴重な場面を見せていただいたな。
ご本尊の前には、1200年もの間、灯り続けている「不滅の法灯」が安置されていました。
ちなみに、織田信長公による比叡山焼き討ちの際に、一度消えたそうなのですが、分灯していた寺院から再び法灯を戻してもらったそうな。
根本中堂を出ると、この石段が目に飛び込んできます。
ここ、前に来た時も登った覚えがある!と思い出し、ワーと登り始めるものの、残り3分の1地点で、ゼェゼェ息切れ。
ヒィヒィ言いながら上までたどり着くと、文殊楼が現れます。
正確には、この位置は裏側。歩いて延暦寺まで登ってきたら、反対側が正面となり、山門のような役割。
慈覚大師円仁上人が創建したものですが、一度火事に遭い、再建されたそうです。
さて、文殊楼の上に登ってみました。
この木の階段がですね。すごーーく急です。靴下でつるつる滑るので、「もう手すり命!この手すりなかったら無理!」という心持ちで登りました。
さて、上りきった空間には、文殊菩薩様と、守るように囲む仏様がいらっしゃいました。
空間そのものが広くはなく、目の前の文殊菩薩様との距離感が近いです。みちっとした濃密な空気。ずーっと見つめてしまう。
いま思い出すと「お綺麗だったな…」と、カフェやレストランなどで自分の近くの席に美人女優さんが座っていたかのような気持ちになりました。
登りが怖かった階段は、下りも同様。「ヒィー。こわっ」と誰もいないのをいいことに呟きつつ、必死で急な階段をズリズリすがりつくように降りました。
紫陽花の手水をいくつか発見。
綺麗ですね。
大黒堂。
三面大黒天がお祀りされていました。
米俵に乗ってる…手に何をお持ちなのだろう。
萬拝堂というお堂の壁に、日本の神社の御祭神を仏教の仏様にあてはめた絵が、お堂を囲むように飾られていました。
これがやたら興味深くてですね。御祭神の姿を絵にしているので、「へー!女性のお姿か」「わかる。こういうお召し物着てそう」と、人間の想像力って面白いなと思いました。
ポストカードセットとかあったら買うかも。
例えば、奈良の春日大社の春日明神のお姿は、ヒトの姿ではなく、白い神鹿に、大きな神々しい鏡のような丸いものが乗り込んでいました。
春日大社の御祭神は、関東の鹿島から鹿に乗ってやってこられたと縁起にあるので、本当にこうやって来られたような気になります。
実家近くの大原野神社の御祭神の絵もあったりして、大興奮しました。もう一度ゆっくり見に行きたい。
さて、駐車場に戻る道すがら、何となくお土産屋さんに入ったところ、吉野葛を発見。
「葛アイス」を作るべく、葛を買いに行かないとと思っていたので、迷わずお買い上げ。
すると、お買い上げ金額にかかわらず、何か購入した人には、胡麻団子サービスということで、有り難く頂きました。(この時期だけかもしれません)
甘いものでエネルギーを補給し、いざ、西塔エリアへ。