ナビの様子がおかしく、横川の横川中堂を指定するものの、何故か東塔の根本中堂を目指すルートを指す。
いやいや、「中堂」しか合うてへんやないか!とツッコミつつ、ナビを無視して横川方面へ走りました。
西塔から横川へは、10分か15分程度、山道を下ります。
余談ですが、この西塔の道路に面したどこかに、「狩籠(かりごめ)の丘」という魔所があります。私はすっかり忘れていたので通り過ぎましたが、西塔寄りのどこかだそうです。
比叡山の中にはいくつか魔所と呼ばれる場所があり、その一つとされています。
最澄上人が、都の南東で大暴れした魑魅魍魎を、この丘に封印。三つの石が配置され、結ぶと正三角形になる。その中心部分に封印されているとか。
今も千日回峰行の修行僧が、真夜中にここの前を通りかかる際には、必ずこの場所で灯していた提灯の蝋燭を取り替え、古い蝋燭を石のそばに置き、法華経を唱えながら去る、というお作法があるそうです。
あくまで言い伝えの一つなので、真偽の程ははかりかねますが。
横川に到着。第三世天台座主、慈覚大師円仁上人によって開創。参道沿いに、名僧の絵解き物語パネルが並んでいます。
横川中堂へと続く石段。
横川中堂。遣唐使船をモデルとした舞台造りの建物。
お堂の中はシンとしていて、中央部が2メートルほど下がっています。そこにご本尊である聖観音菩薩様。お隣に不動明王のお姿も見えます。沢山の仏様が薄暗闇の中、浮かび上がっています。
少し下がっている所を見るせいか、そこが別世界のように思えますね。
中堂前に、護法石なるものもありました。
石段を下って行くと、足元から小さな鳥が飛び立ちました。「わ」と小さく声を上げましたが、小鳥は石段脇の溝に移動し、キョロキョロ。
小鳥はなかなかの早さで、弾むように上へ移動。かわいいな。
横川中堂と青紅葉を見上げながら、歩きます。
さて、真っ直ぐ行くと元三(がんざん)大師堂。横に行くと元三大師御廟。
まずはお堂のある方へ。
木々に囲まれた清々しい自然の参道。
小さな祠もありました。
東塔、西塔とは、また違う雰囲気。心地の良い参道ですね。
元三大師堂前。右手の石碑に注目。そう、ここはおみくじ発祥の地とされています。
元三大師は、民を悪疫から救わんと、自ら鬼の姿となり、その姿を写しとったお札を貼ると、病魔が退散するとされています。
京都のおうちの玄関には、よくこのお札が貼ってあります。
そう、そんなふうに。これは東塔のお堂の入り口に貼ってあったもの。
私も、この元三大師のお札がほしい!と昔から思ってました。なので、ここに来ることが出来て、かなり嬉しいです。
お堂の中央にはガラスがあり、その向こうに元三大師がいらっしゃる…と思うのですが、ガラスの反射で、お姿を見ることは出来ませんでした。
社務所の住職さんから、例のお札の説明などをお伺いしました。迷いに迷った末に、元三大師と鬼大師のお札、小さい方のサイズをそれぞれ購入。
ついに、私も元三大師お札デビュー。感慨深い。
さて、おみくじについて、伺ってみました。
おみくじ発祥の件は長くなるので端折りますが、ここのおみくじは、ただのおみくじではありません。
運試しとして引くことは出来ません。まず予約し、住職さんに迷っていることなどを相談。カウンセリングのようなものですね。そして、おみくじを行うかどうか判断され、いざ引く際は、元三大師に読経を奉じた後、住職さんがおみくじをひきます。そして、その読み解きをして下さいます。
時間にして、1時間から1時間半を要します。
私には今迷い事があり、お願いしたい気持ちがありましたが、予約を失念していました。
しかし「いいですよ!今からやりましょうか?ただ、途中で御朱印などの方が来られたら、中断するかもしれませんが…」と、物腰柔らかい40代くらいの住職さんが申し出て下さいました。
元三大師をお祀りする元三大師堂の住職さんは、これまた厳しい修行をされているとお察しします。(もう三年籠山行や千日回峰行や十二年籠山行を知ってしまうと、麻痺してくるというか…)
色々と作務の段取りもあるでしょうし、予約なしの私がそのリズムを壊すのは恐れ多く「いえ、また出直して来ます!」と宣言。住職さんは「そうですか。ではこれを」と、元三大師堂の連絡先を下さいました。次回、延暦寺に来る前には、予約をしてお伺いしたいです。
元三大師堂の近くにある箸塚弁財天。延暦寺境内って、弁財天の小祠が多いような気がする。
木々の中の十一面千手観音様。
元三大師御廟にも行きたかったのですが、帰宅時間の関係で、今日はここまで。
道の脇を流れる水。山からの水でしょうか。澄み切っていて、手を浸してみると、冷たくて心地よい!
さて、車の中で私は「あ、あれ。通行券、どこ?」と、有料ドライブウェイの通行券をなくしてしまった事に気づき、若干、心の平静を失っていました(苦笑)。
結果的には、通行券を取った時に「無くさないように財布の中に入れよう」と財布の中に入れていたのですが、そんな事はすっかりきれいに忘れ去っており、ショボンとして大津側の出口ゲートで紛失の旨を伝えました。
係員さんは優しいナイスミドルで、「そうですか。大丈夫ですよ!」と優しく対応してくださり、縦走料金2430円を支払い、重ねて「お参りはいかがでしたか?」「急がなくても大丈夫ですよ」と捨てられた子犬のような気配を出していたであろう私を慰めてくれました。おじさま、ありがとう…!
延暦寺の境内にいますと、「一隅を照らす 此れ即ち国宝なり」という、伝教大師最澄上人の言葉がそこかしこに、目に入ってきます。
人それぞれ、色々な解釈が出来ると思います。
沢山の人々がこのお山に来て、それぞれの思いで比叡山を歩いているんでしょうね。
私は仏教の難しい事は知りませんが、とにかく修行僧はすごい、すごすぎる。
またお参りしたいと思います!