本日はお休み。
数日前から、「16日はどこへ行くか」と迷い、いくつもの選択肢を考えていました。
前夜に「鞍馬寺にしよう」と決めて床についたものの、当日の朝に「やっぱり宇治」と変更。
宇治市の仏閣をいくつか回るつもりで、まずは車で萬福寺へ。
長岡京市からは、車で約30分かかるかどうかくらいの距離。宇治橋のあたりは観光地ですが、あまり行く機会がありませんでした。10年くらい前に、友人らと遊びに来た以来です。
萬福寺がある京阪およびJR黄檗(おうばく)駅界隈は、現在は大阪在住の年の離れた実姉が嫁に来た所で、当時まだ小学校高学年だった私は、姉のところに遊びに行くべく、よく黄檗駅を利用しました。
その時に「この近くに、萬福寺という有名なお寺がある」という事は知っていました。しかしお参りすることはなく時が経ち…ウン十年経ってようやくやって来ました。
確か、ちょっと中国様式で、大きな魚の何かがあるお寺…といった、ふんわりした記憶のみでやって来ました。
総門前。すでに、ここで日本のお寺の感じとは違う建築様式なのが分かりますね。
放生池を右手に見ながら参道を歩くと、三門が現れます。ここで入山料を払います。
禅宗である黄檗(おうばく)衆の大本山。
江戸時代1654年、中国福建省から渡来した隠元禅師が後水尾法皇や徳川将軍家綱公の崇敬を得、1661年に開創。
平日の朝ということもあり、お参りの人影は見当たりません。
やったー。いま貸切や!とウキウキしながら進むと、左手に蓮の鉢が沢山ありました。品種らしき名前が書かれています。「酔妃蓮」や「爪紅」はいかにもな感じですが、中央手前の「ヘリ基地」が気になります。
天王殿が近づいて来ました。
参道の菱形の石畳は、龍の背を表しているそうです。この時は何も知らないので、「菱形とか変わってるー。おもしろー」と心の中でキャッキャしながら歩いてました。
天王殿。寺の玄関として設けられています。
中国では一般的な建て方で、弥勒菩薩の化身である布袋尊、韋駄天、四天王をお祀りしています。
萬福寺の建造物の伽藍配置は、中国の明朝様式を取り入れたもの。創建当時の姿をそのまま残す寺院は、日本国内では他に例がないそうで、国の重要文化財に指定されています。
こちらのお寺は、写真撮影OKのようです。というわけで、撮影させてもらいました。
日本最古、都七福神の布袋尊。
お参りしながら、誰も来ないのをいいことに「なんかやっぱり日本の雰囲気やないなぁ。中国やなぁ」
と小声で呟いてました。
それもそのはず、この布袋尊は、日本の仏師ではなく、当時の明国から范道生(はんどうせい)という仏師を招き、造像されています。
ここで、布袋さんといえば、こないだ八大神社に行った時に、道端の建屋に恰幅のいい布袋さんの石仏がお祀りされてたなと思い出しました。
思わず「あー!また会いましたね」と思ってしまいました。
左右には四天王像。
布袋さんの背後に、韋駄天像。こちらも范道生さんの作。
これはまた立派でカッコいい。
真ん中より少し左よりくらいで足を止めると、ジッと韋駄天さんに見つめられる角度となります。
心情的に、「足が遅いらしいなオマエは。足が短いのか?ん?」と大真面目に心配されたような気持ちになり、「スイマセン…なんかほんとにスイマセン」と己の足の短さを思い知らされる恥ずかしい乙女の心地になりました(笑)
それはまぁ冗談として、とにかくかっこいい仏様でした。
天王殿の奥に、本堂にあたる大雄宝殿があります。
ドーーーン!
と効果音をつけたくなります。
最大の伽藍。日本で唯一、最大のチーク材が使われています。
正面回廊前。大きな円窓が独特。そして天井も黄檗天井という様式。丸ッとした感じがかまぼこの形みたいですね。
正面の香炉。鮮やかな水色がエキゾチック。
ご本尊。中央は釈迦牟尼仏。
両脇侍は迦葉と阿難の二尊者。
左右には、十八羅漢像がずらり。范道生さんの作。
こちらの羅漢さんはいずれも興味深いのですが、特に「!」となるのがこちら。
羅睺羅尊者。自らお腹を割いたその中には仏様が。
なんか、ぴょん吉(byド根性カエル)みたいになってますけど…と罰当たりなことを思ったりもしましたが、いやこれは素晴らしい。タイミングによっては、様々な博物館にも出張展示される事もある尊像とのことです。間近で、しかも写真まで撮影させていただけて、ありがたかったです。
伽藍の外から漏れ入ってくる日の光が柔らかくて、癒されるようなお堂でした。
続く!