yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

夜の珍客

仕事を終え、帰宅し、家族ですきやきを食し、さて後片付け&家事を…と思っていた所、ピンポーン、とチャイムが鳴った。

母が玄関に向かい、「はい、どうぞー」と言っても、入ってこない。
私は、大量の衣類を抱えたまま、二階の階段の途中にいて、様子を伺っていた。
母が玄関の扉を開けてみると、裸足の子どもが、足を血まみれにして、泣きながら立っていた。
「えっ!?なんや、どうしたんや」
母の声音が変わり、私も、大量の衣類を階段にドサッと放置し、玄関に向かった。
どこか近所の子どもが、怪我をして、助けを求めたのか、それとも誰かに何かされたのか。
と思ったら、いとこの子どもであった。しばらく見ないうちに大きくなっていて、一瞬、誰だか解らなかった。

いとこと喧嘩をし、裸足で、泣きながら、ここまで歩いて来たのである。
いとこの家から、我が家まで、私の足でも1時間半から2時間はかかる。
冬の夜道、一人で歩いて来たのかと思うと、ゾッとした。よく無事にここまで来てくれた。
母がいとこに電話して事情を聞く間、私は、とりあえず足の手当てだ。爪が割れて、親指から出血している。見るからに痛そうだ。
子どもは、ずっと泣きじゃくっていたが、少し落ち着いたのか「自分でやります」と、布で足を拭き始めた。

トイレに入っていた父は、扉を開けた瞬間、玄関に血まみれで泣いている子どもがいるので、びっくりして、私に「なんや、どうしたんや。どこの子や。…○○か」と驚いた。そりゃビックリするだろうな。

とりあえず暖かい部屋の中に入れて、電話で事情を聞いた母が、子どもとがっぷり向かい合って、コンコンと説教というか、話を始めた。
私はその足下で、「えーと。ガーゼないかな。綿棒も…」と、子どもの足の手当を続ける、という、ものすごい絵図になった。

ごはんを食べずに飛び出して来たらしいので、母が話している間に、ちょうど、すきやきの残りのお肉があったので、すき煮などを用意する。

お母さんにおこられて、家を飛び出して、そのままあやしい所に行かず、親戚の家を訪ねて来るって、イヤ、夜道だし危険なんだけど、なんかカワイイなぁ、しかしホントにうちに来てくれて良かったな、と思った。

「ごはん、出来たよー!」

ごはんを食べさせながら、母が「ま、とりあえず、靴は履いといでや」と言ったので、思わず笑ってしまった。


いとこが迎えに来て、話し合いが始まった。
私はとりあえず、家事を続行せん、と、ベランダに出ると、東の方向に、真っ赤な何かが浮かんでいるのが見えた。


多分、月かな。
しかし、ほんの1分ほどの間で、目で見て動いているのが分かる速度で、高度を上げ、雲の中?に消えたので、「レーザーライトのイベント?清水寺のライトアップの何かとか?まさかUFO?」と、色々、疑問符が浮かんだ。
いつもなら「ねー、ちょっと。東の空に真っ赤な何かがあるよ」と家族に言いに行くのだが、階下では、話し合いの真っ最中である。「真っ赤ななにか」など、言えるはずもない。
ま、月だな。雲がかってるから、速度が速く思えたのだろう。


そうしているうちに、仲直りしたようで、帰って行った。
よかったよかった。