yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

おこしやす日本

というわけで、
本日から3月末まで、うちにホームステイする学生さんを、迎えに行った。

日本滞在中に、彼らが通う京都市内の大学へ。
母と迎えに行き、時間があったので、お昼ご飯。
しかし、今はお正月休み期間で、大学の中は閑散とし、中の学生食堂も閉店中、周りのお店も閉まっていた。
選択の余地なし!で、モスバーガーに入る。
母にとって、人生初のモスバーガー。そして人生初のライスバーガー(野菜かきあげ)。
かぶりつく、という食べ方が出来ず、上から順に、ライスパティ→野菜かきあげ→ライスパティ、と、分解しながら食す母であった。


空を見上げると、また飛行船発見。


指定された校舎の一室に向かう。
入り口があったものの、鍵がかかっていて、入れない。
げげっ。
中から、通りかかったひとに開けてもらった。今は大学が休みで、鍵が全てオートロックになっているらしい。入ってくるのわかってるんだから開けてて欲しい、と思いつつ、こちらが入り口を間違えた可能性もあり。
部屋の都合により、ホストファミリーは、留学生専用の図書室で待機。部屋の中には、他のホストファミリーの皆さんが、座っていた。
母が知り合いと話している間、私は、職業柄、棚においてある洋書の請求記号(図書館の本の下の方についているシールの記号)を見たりしていた。
しばらくすると、大学のスタッフさんに案内され、皆で、留学生たちが待つ教室に移動。
事前に、お互いの顔写真などは交換しているので、顔はなんとなく解るのだが、どきどき。

名前を呼び上げられ、数ヶ月間、我が家の息子、私の弟となる留学生R君と対面。
アメリカ生まれアメリカ育ち、22歳である。
見た目は、「そのへんを歩いている京都の大学生」と判別つかない。
「Rです!はじめまして!よろしくお願いします」「ハイ!私はyukixです。よろしくね」
日本語、ペラペラです。
彼らは、日本語の勉強のために来日したので、日常、緊急時を除き、英語は一切使わない。
ま、使わないというか、こちらは全く使えない状態だが。(両親は全く使えないし、私もカタコトである)
そういう、言葉の壁の危惧を一切感じさせない。

しかし、彼は、手に、巨大な枕を持っていた。

「R君。それは…まくら?ピロウに見えるけど」「はい!マクラです。スーツケースに入らなかったので、手に持ってきました」
彼が、はるばるアメリカより、まくらを持ち、日本に降り立った姿を想像し、私はあやうく吹き出しそうになった。母はちょっと吹き出した。このあと、他のホストファミリーの人にもつっこまれていたが、やはり、全員、吹き出していた。

家に帰る道中、通学のルートや、定期券を購入する。
自慢ではないが、私は原付人生を送ってきたので、定期券を買った事がない。というわけで、同じ方向に帰るファミリーと同行し、教えて貰うことにした。
他のファミリーも駅で定期券を買うので、地下鉄や阪急の定期券売り場は、一時的に、「おじさん&おばさん&外国人」が、わぁわぁ大騒ぎ、という珍しい光景になった。
定期などを買いながら、R君は、ものすごく流ちょうな日本語で、色々と私に質問をする。他の子たちは、みな、あまり喋らないのだが、彼は本当に堪能だ。
「yukixさん。僕、か、俺、どっちがいいですか」「…(一瞬意味がわからなかった)ああ、自分の呼び方ね。どっちでもいいけど、僕、の方がいい(←私の個人的好み)」「わかりました!」
おもしろい。

R君と他の留学生君は、駅のポスターを見て、「気配り」という言葉に、早速反応した。
「yukixさん。気配りとは、なんですか」
おおお…。日本人同士でも曖昧になっているところを。他のホストファミリーと、一丸となって、答える。
「優しさ…思いやり…マナーのことかな」「oh、気遣いのことですね」
よくそんな単語知ってるね。すごいな。
そして、彼は更に、駅のホームにあった「拾い棒」に注目した。
「yukixさん、拾い棒とはなんですか」「これはね。あなたが、その巨大なまくらを、線路に落としたとする。そしたら、この棒を使って、拾い上げる。そういう棒」「オオ、拾う、という動詞に関連している棒なんですね」「そう!拾う+棒=拾い棒。ただし本当に拾う時は、危ないから駅員さんを呼んでね」
やっぱりおもしろい。

そして、電車の中にて、R君が他の留学生君と英語で話した時、私は思わず「ちょっと!なに!?かっこいい」と呻いた。一瞬「あなた英語うまいね」と思ったが、彼はアメリカ人なので、当然なのであった。そういう事すら忘れさせる語学力であった。
日本語を喋る時は、日本語のイントネーションで、英語の時は、まさにネイティブな勢いのある英語で、その使い分けが、すごい。
あれです。仕事中は眼鏡&ひっつめ髪+クールなスーツ姿のおねえさんが、仕事終わった瞬間に、髪をほどき、ものすごいセクシーな女豹に変身したかのような、そんな感じのギャップ。
「いえいえ。日本語の方がかっこいいです」謙虚なR君であった。

最寄り駅からバスに乗り、いよいよ我が家へ近づく道中、R君は、最近読んだという日本近代文学谷崎潤一郎「鍵」のあらすじを、語った。
「旦那さんがいまして、ひとのつま、ひとのつま?がいて」「ああ、奥さんって言うんだよ」「そう!奥さん。旦那さんと、その奥さんがいて、2人は別れたがっているんです。そこで、旦那さんが自分の友達を、奥さんに紹介するという、ま、ややこしい話です」「うーん。それは確かにややこしい話だね」
まさか、谷崎潤一郎の話まで出来るとは、思わなかったな。
漢字がちょっと苦手なようですが、日常生活、全く問題ナシ!


家に着き、父と対面し、部屋などを紹介し、晩ご飯はお店で皆で食べるように伝え(我が家は飲食店)、私は、R君が使うインターネットのルーターを申し込みに行くべく、原付ねこじゃ号で、四条烏丸へ。


スターバックスにて、ホッと一息。


帰宅し、居間にいた父に、R君の晩ご飯の様子は、どうだった?と聞いたところ、彼は、3時間ほど、うちの常連のお客さんと食べ、飲み、その酒飲みおじさんたち全員を、上手にあしらっていたという。「たいしたもんや。さすが、日本語勉強しようと思うだけあるわ」と、父、感嘆

そして、ものすごくお酒が強いらしい。

そんな感じで、怒濤のホームステイ一日目は、無事に終了。
素直で、穏やかで、とてもいい子なので、安心している。
ただ、我が家としては初めての事で、慣れない事がたくさんあり、私自身も、どうしたらいいのか迷う時がある。
その点を、「私たちも初めてなので、何かあったら、なんでも言って欲しい」、と最初にR君に伝えたところ、
「わかりました。大丈夫です!では、お互いに、成長していきましょう」
やー。ほんとにたいした子ですわ。