一夜明け、ホームステイ初の朝が来た。
朝食タイム。
晩ご飯はお店スペースで食べて貰うが、朝ご飯は、毎日、私が担当である。
気分はどうか、今日の予定などを聞き、持参したパソコンをインターネットに繋ぎ、来京中の足となるチャリンコR号の乗り方を説明する。
「じゃあ、行ってきます」
「行っといでやす!」
「え?」
「標準語では、行ってきます。京都の言葉では、行っといでやす」
「oh!では、行ってきます、は、なんていうの?」
「……行ってくるわ!(「て」にアクセント)」
「行ってくるわ!!」
実のところ、私にはひそやかな計画がある。
日本語が堪能なR君に、サブリミナル的に京都弁を仕込み、「京都弁がちょっとだけしゃべれるアメリカ人」になってもらいたいと思っている。
まずは、ひとつ。
私が描いたオール日本語の地図を手に、駅前まで、留学生仲間と会うべく、走っていきました。
そんな感じで弟を送り出し、私は、かねてより約束していた初詣へ。
まずはラーメン店「大ちゃん」にて、美味しい醤油ラーメンをすすり、いざ一路、車で、世界遺産、醍醐寺へ。
境内の中、駐車場に繋がる石畳の道を、車で走る。普段、あまりこういった本格的石畳の道を車で走る事はないので、新鮮であるが、大丈夫だろうか。
冬場の拝観時間は短い。ちょっと急ぎ足。三宝院の拝観入り口。こちらには入らず。
西大門方面へ。
豊臣秀頼の再建。仁王像は平安後期に造立されている。
人はちらほら。全体的に静かだ。
国宝の金堂。醍醐天皇の勅願により創建。醍醐寺の中心となるお堂で、中におわす薬師如来が、本尊である。
お詣りする時に、見知らぬ初老の男性2人が、一心不乱にお経を唱えていた。その声が、静かな一帯に響いていた。
五重塔。こちらも国宝。外観の朱は剥げて、渋い茶色の貫禄ある塔だ。
境内のあちこちには、誕生記念、還暦記念、復興祈願、などなど、個人の植樹が目立つ。
観音堂。
観音堂の横には、庭園があり、朱色の弁天堂が見える。
池の底には、鉢のようなものが。
豊臣秀吉の醍醐の花見が行われたのは、このへんだろうか。周りには、桜の木がある。春は、また美しいことでしょうね。
人の少ない、冬の木立の中を歩く。
醍醐寺の参拝を終え、なんだかんだと色々移動し、
晩ご飯は、焼き肉。
注文はタッチパネル。
同行者は車の運転があるゆえに、実に気の毒だが、ノンアルコールである。私だけスイマセン。
炭火で焼きまくる。
焼きながら、R君と明日の朝食時間について、メールでやりとりする。日本語で。
「明日の儒教は9時から」とあった。
おっと!ちょっと面白い変換ミス!
正しくは「授業」ですね。9時から儒教て、いつの時代の書生だ君は。と、つっこみたい気持ちを抑え、昼間、自分が送ったメールを見直すと、私もおかしなメールを送っていた。
「いま、山科のあたりにいます」を「いま、山科なあたりにいます」と送っていた。構文として覚えられたら大変責任を感じるので、明日の朝、訂正しておこうと思う。