yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

薔薇をあなたに

伊勢で泊まった宿の中には、バラ園があった。
朝食を頂いたあと、散歩してみました。


あはれ薔薇(そうび)よ 疾(や)める哉。

ぬばたまの夜、吹きおらぶ
あらしのなかを翔りゆく
視えもわかざる蠕虫(むし)ありて、

緋のよろこびの臥床よと
爾(きみ)をみそめつ。さてはその
冥(くら)き秘密の恋にこそ、
きみがいのちは毀(こぼ)たるれ。

(「疾める薔薇」ウィリアム・ブレイク)


今朝、わが家の
どの室の薔薇も、
皆、唇なり。

春の唇、
本能の唇、
戀人の唇、
詩人の唇、

皆、微笑める唇なり、
皆、歌へる唇なり。

あはれ、何たる、
若やかに、
好色好色(すきずき)しき
微風ならん。

青磯の瓶の蔭に
宵より忍び居て
この暁、

大輪の仄かに落ちし
眞赤なる
一片の下に、
あへなくも壓されて、
息を香に代へぬ。

一つの薔薇の瓶は
梅原さんの
寝たる女の繪の前に置かん。

一つの薔薇の瓶は
ロダンの寫眞と
並べて置かん。

一つの薔薇の瓶は
君と我との
間の卓に置かん。

さてまた二つの薔薇の瓶は
子供達の
部屋部屋に分けて置かん。

あとの一つの瓶は
何處にか置くべき。

化粧の間にか、
あの粗末なる鏡に
影映らば
花のためにいとはし。

若き藻風の君の
来たまはん時のために、
客間の卓の葉巻の箱に添へて置かん。

(「薔薇の歌・八章」与謝野晶子)



Fort いと
Belle, 美しき
Elle もの
Dort. 眠る。

Sort 脆き
Frele, いのち、
Quelle いたましき
Mort! 死よ。

Rose バラは
Clode, 萎れ、

La 微風、
Brise 立ちて、

L'a 連れ
Prise. 去りぬ。

(ジュール・ドゥ・ルセギエ)


やー。
古今東西のバラの詩を挿入してみました。
私は、バラの花を見ると、子供の事に見た「パタリロ!」のバンコランを思い出してしまうのでした。
あの天然アイシャドーはすごかったなー。