yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

尾道・倉敷ひとり旅 5 : 総社市の魔法神社

尾道水道の夜明け。

フロントにコーヒーをもらいに行き、尾道在住のスタッフさんから、街のことやオススメのパン屋さんなど親切に教えていただきました。とても感じの良い方ばかりで、とても素敵なホテルでした。

 
部屋で、昨日買った西川製パンのクリームパンで朝ごはん。昔ながらのシンプルなカスタードクリーム。ほっとする味です。

 
窓の外。東の方向から朝日が上がってきました。

 
目の前の尾道水道には、様々な船が行き交っていました。巨大な足場を、小さな船を横付けさせて運んでいました。すごい。

カラフルなフェリー。

 
次はいつ尾道に来る事が出来るか分かりませんが、必ずまた訪れたいです。
 
前夜の足腰の痛みですが、寝る前にストレッチをしたものの軽快はせず痛い。しかししょーがない。
若干ヘコヘコした虫のような動きで車に乗り込み、次の目的地、岡山県の倉敷に向かう前に、総社市へ。
「これは行ってみたい!」と興味津々の神社に向かいました。
山の中にあるらしいので、事前に色々と調べました。
狭い道らしいですが、軽自動車なら問題はないであろうと考え車のナビに目的地を入れて、出発。
 
車は山の中へと進みます。
徐々に人家も絶え、森の中の一本道に。
道幅はなかなか狭く、四方八方から降り続く落ち葉で車道の左右の境目が非常に分かりにくかったです。ガードレールなどはなく、片方が崖っぽい箇所もあったので、けっこう怖い。
車1台は普通に走る事が出来ますが、対向車が来たら広い箇所までどちらかが下がってすれ違う形になると思います。私は軽自動車なので進みましたが、車幅のある車だったらパスしてたかな。
運転しながら「いやこれ行けるけどさ。行けるんやけどさ」と呟きつつ、いざという時のために広い箇所を確認しながら進みました。
幸い対向車は一台も来ず。
いや、むしろ、この日にこの道を走る車は私だけではないか?と思える落ち葉具合。

上の写真は比較的広い道です。いつ動物が飛び出して来てもおかしくないところでした。
しばらくこの細い道を走りました。
まだ?まだ続くの?と思えましたが、たぶん15分くらいだったかと。帰りもここを通るのかと思うと不安しかなかったです。
 
ようやく視界が開け、山の合間にある集落に出ました。古い民家と田んぼを抜けて行くと、ようやく目的地に到着。
魔法神社。

 
駐車場はないので、神社前の少し広いところに停めると良いと思います。

 
ネットで岡山県の神社を検索していた時に見つけて、「ここはマストや!」とやって来ました。
魔法神社は、「魔法様」と呼ばれている日本の民間信仰の一つで、備前加茂の化け狸と伝説上のタヌキ「キュウモウ狸(キュウモウだぬき)」を牛馬の守護神として祀っている神社です。
 
鳥居や狛犬はありませんが、注連縄が張られています。

車から降りて、私の腰は更にガッチガチ。いたた、いたたと呻きながらヘコヘコと石段を上ります。
 
沢山の落ち葉。

 
社殿が見えてきました。
この時、私の頭上を「ウォォン」と音を立てて、オレンジ色の虫が数匹飛び交っていました。
なんかやたら大きい虫やな…ってこれ、スズメバチなのでは!?

ウワッと青ざめつつ、刺激しないように静かに境内へ。写真左側に巣があるようです。
 
広い境内。

 
岡山県に3か所、魔法様の神社があるそうです。
ここ岡山県総社市の魔法神社、同県加賀郡火雷神社細田の久保田神社(天津神社)。
いずれもキュウモウ狸が祀られています。
3か所全部回りたい気持ちもあるのですが、今回は総社市の魔法神社のみにしました。
 
昔、ヨーロッパや東南アジアから多くの船が日本に来訪していた時代、キリスト教の宣教師たちに紛れて、キュウモウ狸が日本にやって来ました。
まずここで「なんで?」と不思議で仕方がないのですが、とにかく渡来したという伝承です。
どこの国から来たのかは不明ですが、人間に化けて日本中を放浪した末、当時すでに廃坑となっていた加茂の銅山を住処としたのだとか。
以来、この住処を気に入ったキュウモウ狸は、月夜には農具をカンカンと叩きながら「サンヤン、サンヤン」と言って踊り回っていました。
人間に化けても、正体がばれると「すまん、すまん」と言って逃げ出したそうです。

ある時、キュウモウ狸は、村人たちに世話になったお礼を告げて、今後は村中の牛馬を守ること、そして火難盗難があるときには、事前に村人に知らせることを誓ったのだそうです。
村人たちは山に神社を建て、キュウモウ狸をお祀りしました。それがこの魔法神社です。
 
立派な拝殿。

信楽狸や新しそうなお供えものがありますので、定期的に地域の方がお参りやお世話に来られているのかもしれません。

 
こちらが本殿。古いですがとても立派ですね。

 
拝殿から境内を見たところ。

 
「魔法様」の名ですが、ハリーポッターのような西洋の魔法とは関係はないそうです。
神社の近くに、摩利支天の社があることから「摩」利支天の「法」が変化したものと言われています。
 
別説もあり、とにもかくにも謎だらけ。
狐ですと退治され那須殺生石として毒気を吐き出す九尾の狐伝説など、どちらかというと恐ろしげな印象がありますが、狸のキャラというか、ほのぼのしたものを感じます。
 
さて、そろそろおいとまを。
その前に、魔法神社のキュウモウ狸様にお願いをひとつ。
どうかスズメバチに刺されずに境内から出る事が出来ますように!本当にお願いします!
 
出る時は向かって右側に巣があるので、パーカーをすっぽり被り可能な限り左側に寄り、そっと音を立てないように、静かにゆっくり移動。
ブゥン…という羽音が右側から聞こえて来ますが、近づいては来ない。
しかし待ち構えていたように、石段に1匹、足を下ろそうとした所にいましたが、ブーンと逃げて行きました。

石段のてっぺんエリアを抜けて、後はできるだけ粛々と下りて境内から出ました。
おかげさまで、無事に車まで戻る事が出来ました。
刺されてしまったら旅行どころではありませんからね。ありがたいです。しかし山奥の人があまり来ない神社に行く際は、こういうこともあるから慎重にと肝に銘じました。
 
四国など西日本には、狸を祭神とする神社がありますが、海外から日本へ来たとされるタヌキが祀られているというのは、実に珍しい伝承だと思います。
とても興味深い神社です。
 
さて、ここからまた戻って、あの森の中の道を行くのか…とナビを起動すると、来た道とは逆の方へ誘導。
こちらのルートは普通の道路で、ところどころ細い所もありましたが、行きの道と比べたらなんて安全なのだろうという道でした。
 
集落は秋の風情。

 
農産物直売所のたね井や。産直の農産物や地元の手作りお菓子やコーヒー豆など、充実した品揃えでした。
レジ近くで地元のお店のオムそばや焼きうどんなどを販売していたのですが、それがやたら美味しそう!でした。

ここに着いてようやく、行きのルートは自分が確認していたルートではなく、逆の上方向から走って来たことに気づきました。

画像のBルートを往復する予定のところを、往路をA
ルートを走っていたんですね。
というわけで、走りやすいのはBルート。もし魔法神社に行かれる際はご参考に…(笑)