yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

神在月出雲旅行記その2・鰐淵寺

出雲市、鰐淵寺(がくえんじ)へ。


なかなかの山の中にあります。
上空には灰色の雲が現れたり流れたり。
駐車場に着いてから、これ天気大丈夫か?傘持ってく?と迷いました。
しかし上流から流れてくる鰐淵寺川に差し込む光を眺め「おっしゃ、無しで行っとこ」といざスタート。

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駐車場から境内までは、10〜15分ほど歩きます。

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雨より熊の方が心配になってきたぞ。
と、おもむろに鈴を取り出しチリチリ鳴らす。

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渓谷沿いを歩く。清洌な流れです。

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もう少し紅葉が進むと、もっと沢山の方が来られるのではないでしょうか。途中、先を行く人影を見かけてちょっとホッとしました。

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仁王門が見えて来ました。
鰐淵寺の創建は推古天皇2年(594年)と伝わります。

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おお、色づいてますね。

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右側は本坊。左側が受付。

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石段は秋の風情。

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ずっと先に、根本堂が見えています。

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天台宗名刹で、この時期は紅葉の名所としても有名。

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元は鰐淵山(がくえんざん)と呼ばれ、 古代より浮浪滝を中心とする山岳修験道の地として発展しました。
境内一帯は、修験道ならではの空気感です。

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根本堂。本堂にあたります。
18世紀の建立。

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御本尊は千手観世音菩薩薬師如来。いずれも秘仏

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信濃国の智春上人(ちしゅんしょうにん)がやって来て、 推古天皇の眼病を治すべく、浮浪の滝に祈願したところ平癒。 成就の御礼にと建立された寺なのだとか。

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出雲には、平田薬師、岩野薬師、一畑薬師など、 主に眼病平癒のお寺が多い気がします。不思議。どうしてだろう。

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根本堂右手の釈迦堂。17世紀の建物。境内最古。
足元がかなり湿ってまして、近づくにもためらうぬかるみ具合。

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鰐淵寺は中世に最盛期を迎えていました。
根本堂を取り巻くように沢山の僧房があったとのこと。

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根本堂左手に、すごく立派に立ち並ぶ大樹。

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手前が常行堂。その奥が摩多羅(まだら)神社。
ここも足元のぬかるみがすごく、遠巻きに。

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常行堂比叡山延暦寺にもありますね。
僧侶が厳しい行を修めるお堂。
その背後の摩多羅神社は、非常に珍しい。密教天台宗の守護神の一柱で、常行堂で修行するお坊さんを守るとされています。
独特の空気感があります。


眺めていると、境内で落ち葉を清掃されていたおじいさんから「お嬢ちゃん、どっから?」と聞かれました。
おっと、アラフィフですが、確かにおじいさんから見たら私などはお嬢ちゃんかも。


京都から来たと言うと少し驚かれたあと、紅葉はまだ少し早くて来週が盛りだと仰っていました。
ここは山深く、このようにお掃除してくださっているからこそ、我々が気持ちよく参拝出来るんだなと思いました。

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傘なしで正解だったわと思いつつ紅葉を眺め、石段を降ります。

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さて、受付横の浮浪の滝への看板。やっぱ行っとくべきかなと思い、いざ。
「足下が滑りやすい」か。私はこういう時に派手に転びまくるタイプなので一抹の不安を抱えつつ。

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鰐淵寺川の流れに、早速、飛び石。

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わーお。もう少し水量が増えたら水没やな。
靴の底を(本当にツルッといかないように)確認し、渡りました。
…楽しい。

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山の中の石段を登ります。

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山王七仏堂。

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ここから奥は、この先にある浮浪の滝から流れ出る川に沿って、このような道が続きます。

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場所によっては、なかなかの高さで崖っぽくなっている山道で、歩幅ギリギリで落ち葉にまみれ、しかもこの日は全体的に湿っていました。
いかにも「さぁここで滑ったら下の渓流にドボンですよ」と言わんばかり。
思わず「やばいやばい。シャレにならん」とひとりごとを呟きつつ先へ。
これ大丈夫?と思っていたところ、先に滝へ行かれたと思しき、杖をついたおばあさんとその娘さんたちが現れました。しかも娘さんたちはスカートとフラットシューズの方も。
彼女らが行けたのであれば、まぁ行けるところまで行こうと登り続けました。


浮浪の滝の下に到着。
この木の通路の先には岩肌があり…。

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左手にお堂が見えてきました。

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到着!
浮浪の滝と蔵王堂。
すごいです。

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滝の裏側に洞穴があり、かつては蔵王権現がお祀りされていました。そこに建つのが、この蔵王堂。

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私の足元。

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振り返ったところ。これくらいの水量だったので、滝の正面まで行く事が出来ました。

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鰐淵寺(がくえんじ)という名称は、 智春上人が浮浪の滝のほとりでの修行中、 仏器を滝壺に落としてしまったところ、 ワニザメがエラに仏器を引っ掛けて奉げたという故事にちなむ。


えっえっ、山にワニザメ!サメ?ワニ?
山陰地方では、大形のサメの呼び名なのだそうです。
巨大なサメがザバーーッと水中から仏器とともに現れる姿は、 さぞや壮観というか神々しいというか、確かに私だったら「 うっわーかっこよ!お寺の名前はワニの字を使う!絶対。けってーい!」と興奮気味に周囲に宣言すると思います。


清々しさに、思わず深呼吸。
さて、気をつけて元来た道を辿りました。
いかにも滑りそうな道の連続ですが、おかげさまで大丈夫でした。

 

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この辺は発掘調査が行われた区域で、浴室の痕跡や洪水のあと、土器なども見つかっています。ここだけでなく、古代の須恵器が各所で発掘されているとのこと。お堂が出来る遥か昔から、古代信仰の場だったのかもしれません。


川の飛び石を抜けて、参道に戻りました。

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駐車場に戻る頃には、車がどんどんやって来て、賑やかな雰囲気になってました。来週はもっと多くなるかも。


浮浪の滝は、ルートがこういう感じなので、決して無理は禁物。晴れて乾いていたらもう少し歩きやすいかと。
またいつか鰐淵寺に来る事があらば、また絶対浮浪の滝へは行きたいです。