yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

旧奈良監獄 前編

先週末、旅行会社企画の日帰りツアーに参加しました。行き先は、奈良市にある旧奈良監獄。
現地解散集合で、 ガイドさんの案内で歩く約1時間半ほどのツアー。

 

星野リゾートのホテルに生まれ変わるため現在は工事中なので、見学出来るエリアは限られています。
象徴的なハビランド・システムがある内部は公開されていません。
ハビランド・システムとは、建物の中心に監守が立ち、 放射状に収容棟が伸びる建築形式。
全ての方位の収容棟を監視できるようになっています。
網走刑務所にあるやつですね。(行ったことないけども)

 

あらかじめ「駐車場はないので公共交通機関で来てください」 とのこと。
出来る限り近くのコインパーキングに停めて、 そこから歩こうという計画で車で出発。
車の充電時間も考慮し早めに出ました。 集合時間の2時間半前くらい。
我が家から奈良市までは約1時間くらいなので、 寄れたらマクドナルドにも寄ろう!と言いつつ。


奈良市街地に着き、ここで我々はオンシーズンの観光地、 奈良のコインパーキング争奪戦を目の当たりにしました。
場所は東大寺界隈。パーキングの数は沢山ありますが、 コスパの良いところは既に満車。
空きを探している内に迫る集合時間。
これはやばい。私が先に降りて、現地に向かうことになりました。


東大寺転害門あたりで車から降り、急ぎ足で北へ。
約10分で旧奈良監獄の表門が見えてきました。
静かな住宅街の中に突然現れます。

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表門前は観光客で賑わっていました。

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このボンネットバスは、 ツアー企画で駅送迎付きのプランの方が乗るバス。 レトロな雰囲気が素敵。「これに乗ってきた方がラクだったかも」 と内心思いました。

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工事中で立ち入り禁止の表門前の塀。以前は車などを停めていた場所のよう。

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受付の方に事情を説明したところ、 我々の予約時間の30分後の組が空いているとのことで、 そちらに変更してもらいました。助かった!
パーキングに車を停めてきた主人も合流。 無事に開始時間に間に合いました。我々の組は15名くらい。 元刑務官の方の案内で、 イヤホンガイドで説明を聞きながらスタート。


表門。
アーチ型の入り口、両脇に円塔を備えるロマネスク様式。

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元刑務官さんから面白いお話を聞きました。
表門で番をしていると、カップルがやってきて「 入場券2枚下さい」と言う。
昔、ここから少し先に「奈良ドリームランド」 という遊園地がありました。表門を見て「ここだ」 と勘違いしてしまったようです。

「ここはそんな楽しい場所ではないんですよ」 と説明したのだそうです。

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正面の庁舎は現在工事中。

赤レンガ造りの建物だそうです。

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枯れてしまっているのですが、 当時は3色の松がとても美しかったのだとか。

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元倉庫の資料館でざっとした説明や映像を拝聴。
旧奈良監獄は、1908年(明治41年)7月、 山下啓次郎氏の設計によって建てられました。 ジャズピアニストである山下洋輔さんのおじいさんなのだそうです。

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2017年(平成29年)3月で刑務所としての機能を終え、 日本最古、 明治時代の刑務所建築として重要文化財に指定されました。

 

収容者は20代前半の男性が対象で、 更生の可能性が高いと考えられる者を中心に矯正指導が行われてい ました。


なぜ、旧奈良監獄が作られたのか。
江戸末期に締結された日米修好通商条約不平等条約) を改正させるために、前時代的な人権無視の牢とは違う施設を整備することで、近代的な法治国家であることを諸国に示したかった。
そういった経緯があったのですね。


作業所跡や倉庫などをさくっと見学。写真はあとの自由時間に撮ったもの。
倉庫の中は工事前のドローン映像や資料コーナーになってました。

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色の違うレンガ。
下部の黒っぽいものは塩を多く含んで焼かれています。 強度が増すのだとか。

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これは倉庫なので、 見栄えのあまり良くないレンガが使われています。
現在工事中の庁舎の壁面などには、 出来の良い綺麗なレンガが使われていたのだそうです。


敷地内で最も美しいと言われているレンガの回廊。

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左側がハビランド・システムの収容棟。 窓枠の白い鉄格子も当時のまま。

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レンガの組み方に「建てるとき大変だっただろうな」 と想像してしまう。美しいです。

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医務所。見るからに雰囲気あり。

切妻屋根の平屋建。

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扉が開けられている部屋は自由に入って良しです。
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採光のために作られた八角平面の塔屋の高い天窓からは光が入ってきます。

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診察室。

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処置室。

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歯科治療室。

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渡り廊下を渡って行きますと…。

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実際の収容に使用された独居房エリアが現れます。

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こちらも扉が開けられている部屋は自由に入って良しですが、中には窓が暗くふさがれたような部屋もあり、ちょっと怖い。

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他の受刑者との交通を一切遮断する昼夜間単独室と、昼間の工場作業で集団処遇し、夜間のみ独居させる夜間単独室に区分されていました。


ここで実際に元刑務官さんが施錠について実演してくださいました 。
今回、施錠部の写真を撮影していますが、 現在の刑務所ではどこも使っていないのでOK。
もしどこかで使用していたら脱獄の原因になりかねないので…。

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扉は脱獄防止のためかなり分厚かったです。9cmくらいかな。下部の小さな四角い窓から食事の受け渡しが行われました。
食事で出される麦ご飯は、昔と違って美味しいものになっていたとか。若い男性受刑者が入っていたので、カレーや揚げ物が人気だったのだとか。

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ちなみに、自由時間にツアー見学者が中に入り、 うっかり施錠して出られなくなったことが2回ほどあったのだとか (汗)。怖すぎる!!


この時は晴れたお昼間なのでまだいいですが、 夜とかはちょっと勘弁だなと思いました。
ここにホテル作るって凄いな。 

 

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