yukixうろうろ日記

京都在住。関西を中心にうろうろしてます。

比叡山延暦寺・西塔

車で走ること2、3分で、西塔の駐車場に到着。参道を下りて行くと、東塔とはまた違う雰囲気です。

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蓑淵弁財天。

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にない堂が見えてきました。

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隆々とした木々が醸し出す力強さと、修行場である緊張感が相まって、目が覚めるようです。

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にない堂とは、二つのお堂の総称です。

武蔵坊弁慶が肩に担って持ち上げたというにない堂の渡り廊下で、二つのお堂が繋がっています。

左手が常行堂延暦寺の修行の四種三昧のひとつ、常行三昧を修すお堂。

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常行三昧とは90日間の修行で、ご本尊の阿弥陀如来様の周囲を、念仏を唱えながらひたすら歩き続け、座ることも伏臥も許されません。睡眠は、一日数時間、手摺りによりかかって眠るという修行。

 

右側が法華堂。
こちらでも、同じく90日間の法華三昧という修行が修されます。

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常坐三昧とも呼ばれ、ご本尊である普賢菩薩の前で、ひたすら座禅を行う。勿論、伏臥は許されません。

 

延暦寺の住職になるには、三年籠山行という、三年間は比叡山から出ないという修行をしなくてはならないそうです。
一年目は、浄土院に仕える侍真(じしん)という修行僧の助手。二年目は百日回峰行。そして三年目に行うのが、常行三昧もしくは法華三昧のどちらか。
ひたすら歩き続けるか、ひたすら座り続けるか。
三年生になると授業が選択制になるような感じですが、桁違いに凄まじい選択です。

 

比叡山や、吉野から熊野の回峰行についての本を読んだりしていましたが、別世界の出来事のようでした。
いま目の前に、実際に厳しい修行が為されるお堂が現れ、感動しました。

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山の中ですから、昼間はいいとしても、夜になると真っ暗だし、いろんな動物、果ては魑魅魍魎の類も跋扈するかもしれません。
そんな中で、ずーーっと座禅組むか、ずーーっと歩き回るか。脳がパンクしそうです。

 

にない堂の渡り廊下を抜けると、西塔の中心、釈迦堂が見えてきます。

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釈迦堂。現存するお堂の中では最古。ご本尊は釈迦如来様。

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お堂の中は静かで、心落ち着きます。

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お堂から外を眺めると、山の方で鳴いている鳥の声が響き、晴天の日の光が満遍なく降り注ぐ空間に、「はー…」と脳みそが空っぽになりそうな癒され感。
御朱印をお受けした際に、お下がりである延暦寺のお菓子もひとつ頂きました。嬉しい。

 

お堂前に立つこちらの木の迫力がすごい。

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おもむろに菩提樹の下へ。

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明るい緑色の葉っぱに囲まれて、ひたすら静謐で優しい空気感。この時はこれが菩提樹とは知らず、帰宅して調べて「おお。あれがお釈迦様が悟りを開いたという菩提樹か。なるほどー。悟り開いちゃいそうな感じなー」と納得。

 

再び、にない堂への階段を上がります。

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そのまま進むと、比叡山の中で最も神聖な場所である伝教大師最澄上人の廟所があります。
少し山道を行くようですが、レッツゴー。

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鳥の鳴き声が響く森の中を、10分ほど歩きます。
うっかり、ほぼフラットシューズと化しているスニーカーで来たので後悔しましたが、滑ることもなく到着。
浄土院御廟。

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一歩門の中に入ると、美しいお庭が広がります。日の光を受けてキラキラと輝く白砂には砂紋が引かれています。

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御廟の拝殿。
先程の三年籠山修行もハードですが、ここには、延暦寺の修行の中で最も厳しいとされる十二年籠山修行のお坊さんが、今も修行中です。

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あの過酷を極める千日回峰行の行者さんですら「十二年籠山行が最もつらい」と仰るという…。
どんな修行なのだろうと思い、事前に調べていました。


宗祖最澄上人が、今も生きているかのように食事を捧げて、お念仏を唱え、庭に木の葉一枚残さぬように、掃除しまくる「掃除地獄」とも呼ばれているそうです。これを十二年。たった一人で浄土院に籠り、親が亡くなろうと病気になろうと山を出る事は出来ない。ここにお仕えする修行僧は選ばれた人でないと出来ないそうで、「侍真(じしん)」と呼ばれます。


十二年籠山行の侍真となるには、その前に好相行(こうそうぎょう)という修行をしなくてはなりません。
三千もの仏の名前を一仏ずつ唱えながら、お香を献じ、お花を献じ、そして五体投地という礼拝を行う。
仏様が現れるなどの好相を感得するまで続けられるそうです。


しかも、十二年とありますが、次の侍真が現れるまで続けなくてはならないそうです!最低限十二年籠山行ですね。
読んでいるうちに、「ヒー!」となりました。
もう場合によっては、命尽きるまで、侍真として浄土院の中で過ごすわけで…。人生を捧げる覚悟がないと務まらないのではないでしょうか。


生き仏のようなお方が、今もこの拝殿の中にいらっしゃるんですね。
私のような凡人からすると、いったいどうして?どうしてそこまで命がけの修行されるのですか?と思わずにはいられません。


拝殿の奥に、廟所があります。
高野山奥の院にも、このような感じで空海上人の御廟がありますが、雰囲気が違いますね。高野山の方は賑やかな印象ですが、ここは訪れる人も多くはなく、とても静かな聖地といった感じ。

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香炉の灰が、このような形に整えられていました。

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背後に気配を感じ振り向きますと、参拝に来られたハイカー風の女性が立っていました。
会釈をすると、女性は「沙羅双樹のお花が咲いていると聞いたんだけど…」と、私に話しかけて来ました。
「え?沙羅双樹?」「白いお花よ」
沙羅双樹と聞いてぱっと思い浮かぶのは、平家物語冒頭の琵琶法師の「沙羅双樹の花の色…」。
実は、廟所向かって右手に沙羅双樹、左手に菩提樹が生えているのですが、その時の私は知らず、「はぁ。沙羅双樹…」と、沙羅双樹沙羅双樹と繰り返しつつ、周りに白い花が咲いていないかキョロキョロしました。
結局、沙羅双樹の花は見つけられず、お先にその場を去りました。もし咲いていたら、神秘的な光景だったでしょうね。


西塔エリアは初めて来ましたが、にない堂に感動し、菩提樹に癒され、浄土院で深く考えさせられました。

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来た道を戻り、駐車場の車に乗り込み、三つのエリア最後の横川(よかわ)に向かいます!

比叡山延暦寺・東塔

先日、久方ぶりに、比叡山延暦寺へ行きました。

滋賀県京都府の境にそびえる山で、伝教大師最澄上人が、788年に延暦寺を創建。
以来、「日本仏教の総合大学」「日本仏教の母山」と呼ばれ、多くの仏教宗派の開祖となった名僧を輩出。

 

大多数は、ケーブルカーで比叡山に登り、東塔地域をお参りにした後は、山頂のガーデンミュージアムへ行くのが定番かなと思います。私もそういうコースでした。
今回は車で来たので、京都側から滋賀側へと比叡山を縦走し、比叡山延暦寺の三つの地域「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」を巡ってみようと思います。


ちなみに車で比叡山に行く時ですが。
延暦寺の山中は、比叡山ドライブウェイと、奥比叡ドライブウェイという二つの有料道路で繋がっています。
知らずに有料道路内を行ったり来たりすると、最初的に「え、エッ!!」とビックリするような料金になりますので、事前に諸事情鑑みて、一番ご都合の良いルートを選択されると良いかと思います。詳しくは比叡山延暦寺のHP内にある交通のところでお調べ頂くと良いかと。
山内には、地域を結ぶシャトルバスも運行していますので、そちらを利用するのも一手ですし、もちろん全ての地域を歩くのもアリ。

 

京都側から山道をひたすら上がって行くと、青々とした水を讃えた輝く琵琶湖と、滋賀の市街地が眼下に広がります。
昔読んだ山岸涼子先生の著書で、「比叡山延暦寺から下山すべくタクシーに乗ったところ、いつまでたっても辿り着けない。何度も同じ場所をぐるぐる周り、どういうわけか同じ場所に戻ってくる。しばらくするとタクシーの運転手さんが訳知り顔でおもむろに煙草を吸うと、今度はちゃんと下山する事ができた」という話を読み、「おぉ…山って不思議」と興味津々でした。
しかし、実際に自分がそういうよく分からない目に遭うのは困りますね。

 

無事に、延暦寺バスセンター近くの大きな駐車場に到着。朝9時過ぎ。まだ人影は多くはありません。
東塔の巡拝受付にて、他の三つの地域の分もあわせて、1000円の拝観料を支払います。受付を抜けると、緑の苔も美しい、伽藍へと続く参道が現れます。

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大講堂を抜けて、鐘楼脇の坂道を降ります。

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木々の間から。高いところまで登ってきたな。

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古そうな小祠がありました。

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正面の大きな木が、ビックリするほど立派でした。

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さて、石段をさらに下がると、比叡山延暦寺の中心、総本堂である根本中堂(こんぽんちゅうどう)が現れます。

現在、改修作業中ですが、中のお堂に入ってお参りする事が出来ます。

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開祖である最澄上人が、最初に延暦寺を開いた場所。
建物は国宝で、ご本尊は薬師如来様。
足場が組まれた薄暗い廊下を抜けていくと、空気がひんやりしてきます。改修って、こういう感じでやるんだ…と、これはこれで貴重な場面を見せていただいたな。

ご本尊の前には、1200年もの間、灯り続けている「不滅の法灯」が安置されていました。
ちなみに、織田信長公による比叡山焼き討ちの際に、一度消えたそうなのですが、分灯していた寺院から再び法灯を戻してもらったそうな。

 

根本中堂を出ると、この石段が目に飛び込んできます。

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ここ、前に来た時も登った覚えがある!と思い出し、ワーと登り始めるものの、残り3分の1地点で、ゼェゼェ息切れ。
ヒィヒィ言いながら上までたどり着くと、文殊楼が現れます。

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正確には、この位置は裏側。歩いて延暦寺まで登ってきたら、反対側が正面となり、山門のような役割。
慈覚大師円仁上人が創建したものですが、一度火事に遭い、再建されたそうです。

 

さて、文殊楼の上に登ってみました。
この木の階段がですね。すごーーく急です。靴下でつるつる滑るので、「もう手すり命!この手すりなかったら無理!」という心持ちで登りました。

さて、上りきった空間には、文殊菩薩様と、守るように囲む仏様がいらっしゃいました。
空間そのものが広くはなく、目の前の文殊菩薩様との距離感が近いです。みちっとした濃密な空気。ずーっと見つめてしまう。
いま思い出すと「お綺麗だったな…」と、カフェやレストランなどで自分の近くの席に美人女優さんが座っていたかのような気持ちになりました。
登りが怖かった階段は、下りも同様。「ヒィー。こわっ」と誰もいないのをいいことに呟きつつ、必死で急な階段をズリズリすがりつくように降りました。

 

紫陽花の手水をいくつか発見。

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綺麗ですね。

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大黒堂

三面大黒天がお祀りされていました。

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米俵に乗ってる…手に何をお持ちなのだろう。

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萬拝堂というお堂の壁に、日本の神社の御祭神を仏教の仏様にあてはめた絵が、お堂を囲むように飾られていました。
これがやたら興味深くてですね。御祭神の姿を絵にしているので、「へー!女性のお姿か」「わかる。こういうお召し物着てそう」と、人間の想像力って面白いなと思いました。
ポストカードセットとかあったら買うかも。
例えば、奈良の春日大社の春日明神のお姿は、ヒトの姿ではなく、白い神鹿に、大きな神々しい鏡のような丸いものが乗り込んでいました。
春日大社の御祭神は、関東の鹿島から鹿に乗ってやってこられたと縁起にあるので、本当にこうやって来られたような気になります。
実家近くの大原野神社の御祭神の絵もあったりして、大興奮しました。もう一度ゆっくり見に行きたい。

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さて、駐車場に戻る道すがら、何となくお土産屋さんに入ったところ、吉野葛を発見。
「葛アイス」を作るべく、葛を買いに行かないとと思っていたので、迷わずお買い上げ。
すると、お買い上げ金額にかかわらず、何か購入した人には、胡麻団子サービスということで、有り難く頂きました。(この時期だけかもしれません)

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甘いものでエネルギーを補給し、いざ、西塔エリアへ。

葛アイスが好きすぎる!

義実家の紫陽花が盛りを迎えました。

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ずーーっと気になっていた、これは間違いなく大好きな予感。
葛アイス。
しかしなかなか近場で売っておらず、手に入りづらいものでした。

 

先日、地元の和菓子店「喜久春」の前を車で通りかかった際に、「葛アイス」ののぼりを発見。
なんと!これは僥倖なり!
いてもたってもいられず、仕事帰りに駆け込みました。

 

ブルーベリーとみかんの二種類がありました。
まずは、みかんを購入。
そしてネーブル大福も。

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まずはネーブル大福。
楕円形のお餅から、ネーブルの橙色が透けているのがイイ。ワクワクします。
では、とふんわりしたお餅を口に運ぶと、甘いネーブル果実が全面的に入り込んできます。

や、ていうか8割ネーブル。ほぼネーブル


ジューシーで、爽やかな甘さのネーブルと、白餡の優しい甘み、もちもちのお餅。
あまりの美味しさに、1分かからず完食。

 

葛アイスの方は、夕食後にいただきました。
葛もちを凍らせた感じですね。

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凍っていても、ぷるぷるとした弾力があり、ゴロゴロ入っているみかんは、シャリシャリ。
ぷるッとしたかと思いきや、シャリッ。

 

やはりな…。
そうだろうなと思っていたが…。

 

これ、大好きすぎる!

 

私はアイスクリームが溶けて液体になるとやる気をなくす面倒くさい人間なので、真夏の野外では冷たいアイスを食べない。食べるとしたらキンキンにエアコンのきいた屋内で、アイスが溶けないように、なかなかの早さで食べる。なので、すぐに頭がキーンとなる。

この葛アイスは、溶けても液体にはならず、ぷるん、とするだけ。
素晴らしいではないか。


あまりにも興奮したので、思わず、自分で作ることが出来ないか、ネットで調べましたところ、ありました。
以前、当ブログにも書きましたが、私は壊滅的にお菓子作りが下手くそなのですが、うん、失敗は成功の母…今度、作ってみます。


お店の入り口には、厄を祓う茅の輪が設置されていました。
季節を感じるなぁ。風流ですね。

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夏至と日食

土曜日の夜、吉祥院にあるラーメン「丸ぎゅ」へ。
味噌ラーメン。並。

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「わ、濃そう!」と思いました。
しかし、食べてみると見た目ほど濃すぎることはなく。それよりも独特の癖になる味噌の味。なんだろう?八丁味噌を焦がしたような?深みがありました。麺は細麺。
夜遅めに行ったのですが、ご近所のおじさん方が、テレビ見ながらお店の方と喋っていて、地元に愛されてる感じでした。

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日曜日、ようやく車の修理が終わり、ディーラーに行ったついでに、お昼は久しぶりの「丸亀製麺」。
ちょうどお昼どきだったので、駐車場に入るまで待ち、お店の中も注文は行列。
しかし、駐車場が満車の割には席が空いていたので、お持ち帰りの方が多いんだと思います。

 

鬼おろし肉ぶっかけうどん。ちくわと蓮根の天ぷら。

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鬼おろしの量がたっぷりで、甘辛く煮込まれた牛肉と渾然一体となり、さっぱりした後味。
やー。これは美味ですね!

 

そして、日曜日の夕方、夏至の部分日食でしたね。
知ったのが数日前だったので、遮光グラスなどを用意出来ず、穴空きお玉で影を作って、それで太陽の形を写し出そうと思い、お玉片手にいざ窓の向こうの空へ。

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うーーーーーん。
太陽…出てるけど、雲が厚くて、こう…影が作れない。
曇天の太陽に向かって、必死にお玉をかざす私をせせら笑いつつ、主人ネコ男氏は散髪に出かけました。
もし影を作る事が出来ても、見せてやんないんだからな…と心の中で思うものの、数分後に私は諦め、穴空きお玉をキッチンに戻したのでした。

 

次回、夏至と日食が重なるのは、約800年後の2802年頃と言われています。

ちなみに、2023年に九州南部と紀伊半島で部分日食。2030年に北海道で金環日食、全国で部分日食。
2035年に北陸から北関東で皆既日食を見る事が出来る予定らしいです。


皆既日食は、太陽が隠れてしまうので、辺りが暗くなるんですよね。是非体験してみたい!北陸か北関東に行かなきゃですが。

 

清涼寺と森嘉の豆腐

と、いうわけで、清涼寺にやって来ました。
7、8年前に、10人くらいで嵯峨野散策をした際に、お参りしました。それ以来です。


室町時代後期の左右の阿吽の金剛力士が守護する仁王門。

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「五台山」の扁額が重々しい。

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境内はとても広い。

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多宝塔。

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一切経蔵。徳川中期の建築で、輪蔵に明版一切経をおさめて、これをぐるぐると回すことで、一切経を読んだことと同じ功徳があるといわれます。有料で回す事が出来るようですが、新型コロナウイルス対策のため、いまは閉められていました。

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本堂。

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天慶8年(945)、重明親王妃が棲霞寺(せいかじ・清涼寺の前身)寺域に新堂を建立し、藤原氏に寄進。度重なる焼失の後、元禄14年(1701)に再建。
徳川初期末の桃山建築の名残をしめしているそうです。

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お堂内部は撮影禁止です。
ご本尊は、国宝の釈迦如来。「生身の釈迦如来」として有名で、日本三如来の一つにされています。
お釈迦様37歳の生き姿を刻んだものとして、インドからヒマラヤを越えて、中国に伝えられました。奈良東大寺の僧、奝然(ちょうねん)上人が、その尊像を模刻し、日本に持ち帰ったそうです。

 

その際に、5人の中国尼僧により、釈迦如来尊像の体内に、絹で造られた五臓六腑が施入され、昭和28年に発見されました。解剖学的にも貴重な資料だそうです。お釈迦様の中に五臓六腑を入れちゃう、ていうのが色々すごいですね。

 

現物は霊宝館に安置されているそうですが、お堂の中にレプリカがあります。霊宝館は季節限定の公開なので、この日は中に入ることは出来ませんでした。

ご本尊のお姿は隠されているので、見ることは出来ませんでしたが、お堂の中は静かで安らかで、癒されます。
受付にいらっしゃったお坊さんが、物腰と声音が柔らかくて優しくて、すごく感じが良かったです。


本堂の裏手から、庭園を見る事ができます。

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弁天堂。

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本堂を出て、阿弥陀堂へ。

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これは、梅?梅ですよね?
境内のそこかしこに。

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下の芝生にポコポコ落ちている。

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清涼寺まで来たら、あそこに寄らなくては!
「嵯峨豆腐 森嘉」。清涼寺の東側にあります。

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夏季限定のからし豆腐と、嵯峨豆腐を買いました。

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さっそく、お昼ご飯にからし豆腐をいただきました。

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お椀型の豆腐で、中心に俵形の和からしを入れており、希少な筋青のりがあしらわれています。

お箸で割ってみました。中心部分に、海苔で包まれた和からしが。

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醤油をかけて、からしをつけながらいただきます。

からし豆腐は、職場のパーティーで2回ほど頂いた事があるのですが、正直、その頃は「ふーん」でした。
今回久しぶりに味わってみると……美味しい!ものすごく!
えっ、これって、こんなに美味しかったっけ?
ようやく私の味覚が大人になったのだろうか(笑)


お豆腐は、絹ごしと木綿の中間くらいの固さ。大豆の味が濃い。私は辛いものは好きでも嫌いでもありませんが、大豆の濃さに負けない、からし醤油のピリッとした刺激が癖になる。


そして、これをパックからお皿に移す際に、掌に乗せたのですが、フヨフヨした柔らかな丸いものが掌の上にあるだけで、優しい気持ちになるというか。 
この丸いものを守るんだ!て気持ちになる。
守るどころか食らうんですけどね。

 

観と鍾馗さんと大覚寺

嵯峨野の大覚寺に到着しました。駐車場に車を停めると、このようなお札を渡されます。

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境内の五大堂に納めるようです。なんだかワクワクしますね。


平日の雨、全国移動解禁日ではありますが、やはり参拝客の数は控えめ。

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弘法大師空海を宗祖と仰ぐ真言宗大覚寺派の総本山。正式名称は、旧嵯峨御所大覚寺門跡。嵯峨御所とも言われます。

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右手の緑は全て松。背の低い松が、広範囲に広がっていました。

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ここも、受付にて「お堂内の写真撮影禁止」とありましたので、お堂関係の写真は撮影していません。
ただ写真を撮っている人もいたので、お堂内部はダメだけど、それ以外や外を撮るのは良いのかもしれません。その辺も、先ほどの高山寺同様、受付で確認した方がいいですね。


境内のお堂は、ほぼ渡り廊下で繋がっているので、雨の日もいったん外に出て…とかしなくていいので、楽でした。
平安時代からの雰囲気が色濃く残っていて、「うーん。さすが旧御所。雅やか」と思いました。


宸殿の廊下はうぐいす張りで、歩くとキュッキュキュッキュ鳴ります。蔀戸(しとみど)という、上に跳ね上げて金具で止める木造の扉があるのですが、その金色の金具が蝉でした。どうして蝉なんでしょうね。面白かったです。

 

というわけで、こちらもパンフレットの写真。
村雨の廊下。

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よく、映画や時代劇で出てくる廊下です。
雰囲気ありました!

 

村雨の廊下を過ぎると、御影堂。嵯峨天皇弘法大師の尊像がお祀りされていました。
ここで、面白いものがありました。一文字写経です。
般若心経が一文字ずつ書かれた用紙が並び、一文字100円で、その文字を筆でなぞり、氏名と願い事を書きます。
へー、文字を選ぶのが面白そう!と興味を惹かれ、100円を箱に納め、用意されていた用紙から、まだ誰も筆でなぞっていない一字を選びました。
迷いましたね。他の方のものを眺めると、「そっか。このひとはこの文字にしたのか〜。こっちの人は、ちょうど願い事とリンクした字を選んでるな」とか、楽しいです。
感覚的に「深」「空」も惹かれましたが、「観」を選びました。般若心経、最初の一文字です。
書くのに力が入って下手くそな字になりましたが、「観」の一字を筆でなぞる間、その文字の事しか頭になく…一度、ちゃんとした写経をやったみたいなと思いました。


本堂にあたる五大堂。ここに、駐車場でもらったお札を納めます。
ご本尊は、不動明王を中心に、五大明王の尊像がお祀りされていました。
ほー。なんか、お寺が平安時代ぽい雰囲気だったので、てっきり観音様とか、如来様とか、はんなりした感じのご本尊かと思ってたので、「やんのかコラァ!」「燃やしたろかゴラァ!」な感じの五大明王様というのが意外でした。

 

ここのお堂の左側で、本格的な写経が出来るようになっていました。正座ではなく椅子に座って書くので、足がしびれなくていいかも。


隣接する大沢池(おおさわのいけ)。
日本最古の人工の林泉。嵯峨天皇離宮嵯峨院造営にあたり、唐の洞庭湖を模して造られたそうです。
青鷺がぽつんと立っていました。

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大覚寺もお土産コーナーが充実していました。
「俵屋吉富」のフルーツわらびもち。
そして右のマグネットですが…。

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「いつまでも瓦(かわら)ないで」。

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大覚寺の屋根の瓦と同じもので作られているそうです。18種類ほどあり、「月」「太陽」「星」「剣」「水」「桃」などなど、鬼瓦にそれぞれのモチーフをつけた造形で、どれも細かくて良く出来てるんです。
かなり迷った末に、鬼瓦ではなく「鍾馗(しょうき)さん」にしました。
鍾馗さんとは、唐の玄宗皇帝の夢枕に現れて、邪鬼を退治し病を治癒しました。京都の家は、屋根に鍾馗さんを乗せているおうちが多いです。
今はもう無い私の実家にも、20センチほどの大きさの鍾馗さんが瓦屋根の上に立っていました。屋根の上から家族と家を守っていると言われます。
鍾馗さんや〜。懐かしい。実家から鍾馗さんだけ連れてきたら良かった…」と思い出しました。

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さーて帰ろうかなと嵐山の方へ車を走らせるものの、曲がるポイントを間違えてしまい、一方通行の道に入り込みました。

その道の先に、清涼寺の立派な山門が、どどーん!と見えてきました。


というわけで、そのまま清涼寺にもお参りしました(笑)続く!

 

緑萌ゆる高山寺

雨がしとしと降る中、車で京都市内へ。
右京区の山の中へ向かいます。


久しぶりに通りかかった福王子神社のある交差点。ここを過ぎると、道は少しずつ登り坂となり、山の中へ分け入って行きます。

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しばらく山の中を走ると、山の中の集落が見えてきます。瓦屋根の質実剛健な、落ち着いた雰囲気が漂っていました。綺麗だな、と思いました。

この辺りは、栂尾(とがのお)と呼ばれる地域で、古来より紅葉の名所として有名です。

 

高山寺(こうさんじ)の駐車場に到着しました。
オンシーズンは有料ですが、今はオフなので無料。
霧雨が降っています。

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駐車場からすぐに右手に、高山寺への裏参道があります。左の道路の向こうは清滝川。昨日からの雨で、水は茶色く、轟々とうねるように流れていました。

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傾斜のある石段を上がります。2、3分あれば上まで行けます。

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境内。高山寺の背後にある山からの水が、勢いよく流れています。
朝9時に到着したので、人の気配はありません。

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国宝、石水院。
この看板でお気づきですね。
そう、ここの宝物のひとつ。世界的にも知られる「鳥獣人物戯画絵巻」のお寺です。
ずっと来てみたかったので、嬉しいです。

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いざ中へ。

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正面の建物で受付を済ませ、そのまま奥へ。

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受付のあたりに「写真撮影はご遠慮下さい」という張り紙がありましたので、中は写していません。

ただ、ネットでは「聞いてみたら撮影してもいいとの事だった」という記事もあったので、その都度、状況が変わるのかもしれないので、聞いてみるといいかもしれません。

 

創建は奈良時代末期の774年。光仁天皇の勅願によって開創されました。
中興の祖である明恵上人の徳行は、皇族、公卿、武士など多くの人々の信仰を集め、「鳥獣人物戯画絵巻」に代表される多くの文化財高山寺に集積されました。

 

この石水院は、明恵上人唯一の遺構。鎌倉時代の住宅建築の傑作。国宝に指定されています。
受付からの渡り廊下からすぐの板間には、善財童子の木像が、あたりを見渡すかのように置かれていました。
というわけで、いただいたパンフレットの写真を。

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これは紅葉の頃の写真ですね。今日は一面が雨に濡れた緑の絵画のようでした。


続きの御座敷から、山を臨む。

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こちらは冬のパンフレット写真。実際は、雨と一面の緑。私の他に誰もいません。

座って外を眺めていると、自然の音しか聞こえない。雨の音、川の音、木々が揺れる音など。どんどん心が静かになる。
国宝の空間一人占めという、贅沢な経験をさせてもらいました。

 

鳥獣人物戯画絵巻」のレプリカ(と思います。本物は確か東京と京都の国立博物館にあるはず)もありました。改めて見ると、やっぱり面白い。ウサギが鹿?ロバ?に乗ってるやつが好きだな。

 

あと、仏師湛慶作と伝わる、鎌倉時代の子犬の像があります。湛慶さんは、先週、三十三間堂でも観音様を拝仏しましたね。こちらの子犬は、明恵上人が常々愛玩していたとか。

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パンフレットの写真です。大きさは本当のちっちゃい子犬くらい?かと。これは確かに可愛いです。撫でたくなる。


受付近くに色々とグッズなども販売されていますが、これがもう、なかなかの充実具合。クリアファイルや絵葉書、ピンバッジやミニバッジ、手拭いにハンカチにお皿に…と「うわ!なんやこれ、欲しすぎる!」と私の中の物欲がほとばしりそうでしたが、堪えてですね…。手拭いと御朱印帳を購入しました。御朱印帳は他にも色違いがあります。

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御朱印の墨の滲みを防ぐために、薄い和紙などを、挟んでくれるのですが、さすが高山寺鳥獣人物戯画仕様の和紙でした。捨てるなんてもったいない!御朱印帳に貼りました。

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石水院を出て、山の方へ上がって行きます。
実に気持ちのいい道でした。

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開山堂。

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すごく立派な2本の木が、開山堂エリアにありました。

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山深いので、境内のいたるところ、このような立派な木がたくさん生えていました。

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明恵上人は、このような山の中で、寂しかったり怖かったりはしなかったのかなと思いました。ここはすごく良いところですが、夜になると真っ暗だろうし…と、凡人である私は思ってしまうのでした。

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春日明神の小祠。

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金堂。ご本尊は釈迦如来像。桃山時代からありましたが、室町時代に焼失し、江戸時代に仁和寺古御堂を移築したそうです。桃山〜室町〜江戸ときて、令和の時代に私たちがここにお参りに来るという時間の感覚がすごいなと思います。

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この金堂に着く直前、金堂の方から60代後半くらいの男性がやってきました。おや先客がいたぞ、と思いきや「あの、高山寺はどこでしょう?」と聞かれました。
「え?ここ高山寺ですよ」と喉まで言葉が出そうでしたがそれを抑えました。
私が来た参道以外に、山からのハイキングコースでもあるのか?とも思いました。しかし、金堂の奥は、明恵上人が修行をされた背後の、りょう伽山(漢字が変換出来ず、りょうがせん、と読みます)の深い森が広がっているのみ。
とりあえず「ここを降りると石水院の看板がありますので、そちらに行かれるとお分かりになると思いますよ」と伝えると、男性はお礼を言い、下りて行かれました。

 

うーん。山から来たとは考えにくいし、石水院に気づかずに、登って来ちゃったのかもですね。
一瞬、狸か狐か天狗に化かされているのでは、と思ってしまうほどの山の中なので、これはこれで面白かったです。

 

仏足石。

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この祠の前に立つと、すごーーーく、いい香りがしました。新しい木材のいい香り。甘やかですらある。

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はー、いい香りだった!と満足し、石段を登ります。

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ここは明恵上人の御廟。ここに眠ってらっしゃるんですね。写真だと伝わりづらいのですが、向こうの山の方から風が抜けるような、気持ちのよいところでした。

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山を下っていきます。

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石水院からだと上まで行っても10分くらいなので、私のような体力に自信のない方も大丈夫だと思います。

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山から流れてくる水は、澄んでいました。

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苔むす木。

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ちっちゃいきのこが生えています。

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日本最古の茶園。明恵上人が栄西禅師から、宋より持ち帰った茶の種を贈られ、ここで栽培を始めました。ここのお茶が宇治へと伝わり、その後、日本各地へと広まったとされているそうです。

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おっ、かたつむり!

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紅葉の頃は、沢山の人が来られると思います。
今はシーズンオフなので、静かな空間を、たっぷり堪能させてもらえました。

 

さてさて。山深い栂尾から走ること15分ほどで、右京区の嵯峨野へ。
続く!